マイホームの購入を検討し始めると、必ず耳にするのが「フラット35」という言葉です。住宅ローンの一種であることは何となくわかっても、具体的な仕組みや特徴については詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
フラット35は、借入時に決まった金利が最長35年間変わらない「全期間固定金利型」の住宅ローンです。将来の返済額が確定するため、家計の見通しが立てやすく、金利変動リスクを避けたい方から支持されています。
この記事では、フラット35の基本的な仕組みから、メリットとデメリット、さらに金利引き下げが受けられる「フラット35S」などの派生プランまで、初心者の方にもわかりやすく丁寧に解説します。住宅ローン選びで後悔しないために、ぜひ最後までお読みください。
※この記事に掲載されている価格は、2025年までの相場を参考にしています。昨今の物価高騰に伴い、価格は随時変動する可能性がございます。最新の詳細な価格につきましては、必ず直接店舗までお問い合わせください。
フラット35とは

住宅ローンを比較検討する際、まず押さえておきたいのがフラット35の基本的な仕組みです。ここでは、フラット35がどのような住宅ローンなのか、その特徴や提供される仕組みについて詳しく見ていきましょう。
フラット35は住宅金融支援機構と民間金融機関の提携ローン
フラット35は、独立行政法人の住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する住宅ローンです。一般的な住宅ローンは銀行などの民間金融機関が独自に商品設計をして販売していますが、フラット35は国の機関が関与している点が大きな違いとなります。
具体的には、利用者は全国の銀行、信用金庫、住宅ローン専門会社などの窓口でフラット35の申し込みを行います。融資実行後、その住宅ローン債権は住宅金融支援機構が買い取り、証券化して投資家に販売する仕組みになっています。この証券化の仕組みにより、長期固定金利での融資が可能になっているのです。
全期間固定金利で返済額が借入時に確定する
フラット35の最大の特徴は、借入から完済までの全期間を通じて金利が一定である点です。たとえば2024年12月時点の金利目安は年1.84%程度ですが、この金利で借り入れた場合、35年後の完済まで同じ金利が適用されます。
返済額が借入時に確定するため、将来の家計計画が立てやすいという安心感があります。変動金利型のように「数年後に金利が上がって返済額が増えるかもしれない」という心配がありません。特に子育て世帯や、長期的な視点で家計を管理したい方に適した商品といえるでしょう。
借入可能期間と融資限度額の基準
フラット35の借入期間は最長35年間で、15年以上から選択できます。ただし、完済時の年齢が80歳を超えないことが条件となるため、申込時の年齢によっては最長期間が短くなる場合があります。
融資限度額は最高8,000万円までとなっており、建設費または購入価額の範囲内で借り入れが可能です。また、融資対象となる住宅には一定の技術基準が設けられており、住宅金融支援機構が定める基準を満たした住宅であることが必要です。
| 項目 | フラット35の基準 |
|---|---|
| 借入期間 | 15年以上35年以内 |
| 融資限度額 | 最高8,000万円 |
| 完済時年齢 | 80歳未満 |
| 金利タイプ | 全期間固定金利 |
| 対象住宅 | 技術基準を満たす住宅 |
金融機関によって金利や手数料が異なる
フラット35は全国の多くの金融機関で取り扱われていますが、適用される金利や事務手数料は金融機関ごとに異なります。同じフラット35でも、A銀行とB銀行では金利に差があることがあるため、複数の金融機関を比較することが大切です。
住宅金融支援機構の公式サイトでは、取扱金融機関の金利一覧が公開されているため、申し込み前に必ず確認しましょう。事務手数料は「借入額の2.2%」のように定率型と、「一律33,000円」のように定額型があり、借入額によってどちらが有利かが変わってきます。
フラット35のメリット
フラット35が多くの住宅購入者から選ばれているのには、明確な理由があります。ここでは、フラット35を利用することで得られる具体的なメリットについて解説します。
金利上昇リスクがなく返済計画が安定する
全期間固定金利であるフラット35の最大のメリットは、金利上昇リスクを完全に回避できる点です。変動金利型の住宅ローンは、市場金利の変動によって返済額が増減する可能性がありますが、フラット35ならその心配がありません。
特に2024年以降は金利上昇局面に入ったともいわれており、変動金利で借り入れた場合の将来リスクを懸念する声も増えています。35年という長い返済期間の中で、いつ金利が上昇するかは誰にも予測できません。その不確実性を排除できるのは、大きな安心材料といえるでしょう。
保証人や保証料が不要で初期費用を抑えられる
一般的な民間住宅ローンでは、保証会社の保証を受けるために数十万円の保証料が必要になることがあります。しかし、フラット35では保証人も保証料も不要です。これにより、住宅ローン契約時の初期費用を抑えることができます。
住宅購入時は頭金や諸費用など、まとまった資金が必要になります。保証料が不要であれば、その分を他の費用に充てたり、手元資金として確保しておいたりすることが可能です。
- 保証人が不要で親族への依頼が不要
- 保証料がかからず初期費用を軽減
- 繰上返済手数料も無料で柔軟な返済が可能
- 団体信用生命保険への加入が任意
繰上返済手数料が無料で柔軟に対応できる
フラット35では、繰上返済の手数料が無料となっています。住宅ローンの返済期間中に、まとまった資金ができた場合は、手数料を気にせず繰上返済を行うことができます。
インターネットサービス「住・My Note」を利用すれば、10万円以上から繰上返済が可能です。こまめに繰上返済を行うことで、総返済額を減らしたり、返済期間を短縮したりできるため、ライフプランの変化に合わせた柔軟な返済計画が立てられます。
自営業者や転職直後でも審査を受けやすい
民間の住宅ローンでは、勤続年数や雇用形態が審査に大きく影響することがあります。一方、フラット35は年収に対する返済負担率を重視した審査が行われるため、自営業者や転職したばかりの方でも比較的審査を受けやすいとされています。
ただし、審査基準は金融機関によって異なる部分もあるため、必ず通過できるわけではありません。収入や借入希望額によっては審査に通らないケースもあるため、事前に複数の金融機関に相談することをおすすめします。
| メリット項目 | フラット35 | 一般的な民間ローン |
|---|---|---|
| 金利変動リスク | なし | あり(変動金利の場合) |
| 保証料 | 不要 | 必要な場合が多い |
| 繰上返済手数料 | 無料 | 有料の場合あり |
| 審査の柔軟性 | 比較的柔軟 | 勤続年数重視の傾向 |
フラット35のデメリット・注意点
フラット35には多くのメリットがありますが、すべての人に最適な選択肢とは限りません。利用を検討する際は、デメリットや注意点も十分に理解しておくことが重要です。
変動金利より金利が高めに設定されている
フラット35の金利は、一般的な変動金利型住宅ローンと比較すると高めに設定されています。2024年12月時点で、変動金利型の住宅ローンは年0.3%台から0.5%台で提供されているものも多いのに対し、フラット35は年1.8%前後となっています。
この金利差は、毎月の返済額や総返済額に大きな影響を与えます。たとえば3,000万円を35年で借り入れた場合、金利が1%違うと総返済額は数百万円の差になることもあります。金利上昇リスクをどこまで重視するかで、この金利差をどう評価するかが変わってきます。
市場金利が下がっても恩恵を受けられない
全期間固定金利のデメリットとして、将来市場金利が下がった場合でも、借入時の金利が継続して適用される点が挙げられます。変動金利型であれば金利低下の恩恵を受けられますが、フラット35ではそれができません。
もちろん、借り換えという選択肢はありますが、借り換えには手数料や諸費用がかかるため、金利差が小さい場合はかえって損になることもあります。「金利は上がるか下がるかわからない」という前提で、リスクを取るか安定を取るかの判断が求められます。
融資率が9割を超えると金利が高くなる
フラット35では、住宅の建設費または購入価額に対する融資率によって金利が異なります。融資率が9割以下の場合と9割を超える場合では、9割超のほうが金利が高く設定されています。
- 融資率9割以下の場合は標準金利が適用
- 融資率9割超の場合は金利が上乗せされる
- 頭金を多く用意できれば低い金利で借りられる
- 諸費用は融資対象外のため別途用意が必要
できるだけ頭金を用意して融資率を9割以下に抑えることで、より有利な条件で借り入れができます。住宅購入を検討する際は、物件価格だけでなく自己資金の準備も含めて計画を立てることが大切です。
適合証明書の取得が必要で手続きに手間がかかる
フラット35を利用するためには、対象となる住宅が住宅金融支援機構の定める技術基準に適合していることを証明する「適合証明書」の取得が必要です。この証明書は、検査機関による物件検査を受けて発行されるもので、取得には費用と時間がかかります。
新築住宅の場合は設計段階から基準を意識して建てることが多いため、それほど問題にはなりません。しかし、中古住宅の場合は基準を満たさないケースもあり、フラット35が利用できない物件もあります。物件選びの段階で、フラット35の利用可否を確認しておくことが重要です。
| デメリット項目 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 金利水準 | 変動金利より高め |
| 金利低下時 | 恩恵を受けられない |
| 融資率9割超 | 金利が上乗せされる |
| 適合証明書 | 取得に費用と手間がかかる |
フラット35Sや子育てプラスなど金利引き下げプランの活用法

フラット35には、一定の条件を満たすことで金利引き下げを受けられるプランが用意されています。上手に活用することで、固定金利のメリットを享受しながら、よりお得に借り入れることが可能です。
フラット35Sは省エネ住宅や耐震住宅で金利優遇
フラット35Sは、省エネルギー性や耐震性などに優れた住宅を取得する場合に、一定期間金利が引き下げられる制度です。2024年2月から新しい基準が適用されており、住宅の性能に応じてポイントが加算され、そのポイント数に応じた金利引き下げが受けられます。
たとえば、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)水準の住宅や、長期優良住宅、耐震等級3の住宅などが対象となります。金利引き下げ幅は、ポイント数によって当初5年間で最大年1.0%となる場合もあり、大きなメリットとなります。
子育てプラスで最大1.0%の金利引き下げが可能
「フラット35子育てプラス」は、子育て世帯や若年夫婦世帯を対象とした金利引き下げ制度です。子どもの人数に応じてポイントが加算され、フラット35Sとの併用も可能です。
たとえば、18歳未満の子どもが1人いる場合は1ポイント、2人なら2ポイントが加算されます。フラット35Sと合わせて利用することで、当初5年間で最大年1.0%の金利引き下げを受けられる可能性があります。
- 子ども1人につき1ポイント加算
- 若年夫婦世帯(夫婦のいずれかが40歳未満)も対象
- フラット35Sとの併用で引き下げ幅が拡大
- 地域連携型との併用も可能
金利引き下げを受けるための条件と申請手続き
金利引き下げプランを利用するためには、住宅が所定の技術基準を満たしていることを証明する必要があります。フラット35Sの場合は、通常の適合証明書に加えて、省エネルギー性能や耐震性能などの基準適合を証明する書類が必要です。
フラット35Sは2026年3月31日までの申込受付分が対象となっているため、利用を検討している方は期限に注意が必要です。※制度の内容は変更される可能性があるため、最新情報は住宅金融支援機構の公式サイトで確認してください。
| 金利引き下げプラン | 対象 | 金利引き下げ幅 |
|---|---|---|
| フラット35S(ZEH) | ZEH水準の住宅 | 当初5年間最大年1.0% |
| フラット35S(Aプラン) | 省エネ・耐震など高性能住宅 | 当初5〜10年間金利引き下げ |
| 子育てプラス | 子育て世帯・若年夫婦世帯 | ポイントに応じて引き下げ |
| 地域連携型 | 地方公共団体の支援対象 | 当初5年間金利引き下げ |
変動金利型との比較で自分に合った選択を
住宅ローンを選ぶ際は、フラット35と変動金利型住宅ローンの特徴を理解した上で、自分のライフプランに合った選択をすることが重要です。金利の低さを重視するなら変動金利型、安定性を重視するならフラット35という大まかな傾向はありますが、個々の状況によって最適解は異なります。
将来の収入見込み、家族計画、リスク許容度などを総合的に考慮して判断しましょう。また、金利動向や制度変更の可能性もあるため、契約前に最新情報を確認し、必要に応じてファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談することもおすすめです。
フラット35が向いている人の特徴をまとめました。
- 金利変動リスクを避けて安定した返済計画を立てたい人
- 長期的な家計管理を重視する子育て世帯
- 省エネ住宅など高性能住宅の取得を検討している人
まとめ
フラット35は、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する全期間固定金利型の住宅ローンです。借入時に金利と返済額が確定するため、将来の金利上昇リスクを心配することなく、安定した返済計画を立てることができます。
保証人や保証料が不要、繰上返済手数料が無料といったメリットがある一方で、変動金利型と比べて金利が高めに設定されているというデメリットもあります。しかし、フラット35Sや子育てプラスなどの金利引き下げプランを活用すれば、より有利な条件で借り入れることも可能です。
住宅ローン選びは、マイホーム購入において非常に重要な決断です。自身の収入状況、将来のライフプラン、リスクに対する考え方などを総合的に検討し、フラット35が自分に合っているかどうかを慎重に判断してください。不安な点があれば、金融機関の窓口や専門家に相談することをおすすめします。



