一軒家を購入すると、住宅ローンの返済とは別に、毎年固定資産税を納める必要があります。購入前の資金計画では見落とされやすい支出ですが、所有し続ける限り発生するため、早い段階で見込んでおくことが大切です。
本記事では、一軒家の固定資産税がいくらになるかを知るために、税額の決定プロセス、ご自身で見積もる際の計算手順、活用できる軽減措置とその適用期限、ならびに地域による違いについて順を追って解説します。なお、制度は2026年度の税制改正により内容が変更されているため、最新の要件に基づき説明します。
- 固定資産税は課税標準額に標準税率1.4パーセントを掛けて求め、税率は市町村の条例で定められる
- 住宅用地は200平方メートルまでの部分が評価額の6分の1、それを超える部分が3分の1になる
- 新築住宅の減額措置は2026年度の税制改正で2031年3月31日までの新築が対象に延長された
- 2026年4月1日以後に新築された住宅の床面積要件は40平方メートル以上240平方メートル以下
- 建物の評価額は再建築価格方式で決まり、経年減点補正率は0.20を下回らない
- 評価額に不服がある場合は、納税通知書の交付を受けた日後3か月を経過する日までに審査の申出ができる
※この記事に掲載されている価格は、2026年までの相場を参考にしています。昨今の物価高騰に伴い、価格は随時変動する可能性がございます。最新の詳細な価格につきましては、必ず直接店舗までお問い合わせください。
一軒家の固定資産税はどのように計算される?

固定資産税額は「課税標準額×税率」の計算式で求められます。一軒家を実際に購入した価格ではなく、自治体が算出する「課税標準額」が出発点となる点が重要なポイントです。
税率と課税標準額の関係
地方税法第350条第1項では、固定資産税の標準税率を1.4%(100分の1.4)と定めています。標準税率とは市町村が通常適用すべき税率を指し、独自の条例によりこれと異なる税率を設定している自治体もあります。
課税標準額は、各市町村が決定する評価額を基に算出されます。この評価額は総務大臣が定める「固定資産評価基準」に従って評価され、土地については原則として3年ごとに評価替え(見直し)が行われます。
なお、実際の売買価格と評価額は異なります。市場での購入価格がそのまま評価に反映されるわけではないため、「3,000万円で購入したから税額はいくら」といった直接的な計算はできません。
土地に適用される住宅用地の特例
地方税法第349条の3の2に基づき、住宅用地のうち200平方メートル以下の部分は課税標準額が評価額の6分の1に、200平方メートルを超える部分は3分の1に軽減されます。200平方メートル以下の部分を「小規模住宅用地」、それを超える部分を「一般住宅用地(その他の住宅用地)」と呼びます。
一般的な一軒家の敷地は200平方メートル以内に収まるケースが多く、その場合は敷地全体に対して6分の1の特例が適用されます。土地の固定資産税が比較的低く抑えられるのは、この特例が機能しているためです。
ただし、特例の対象となる面積には上限が存在します。地方税法施行令第52条の11第2項により、住宅用地として特例が適用されるのは家屋の床面積の10倍までと定められています。建物に対して極端に広い敷地の場合、すべての面積に特例が適用されるわけではありません。
| 区分 | 対象となる面積 | 固定資産税の課税標準額 | 都市計画税の課税標準額 |
|---|---|---|---|
| 小規模住宅用地 | 200平方メートルまでの部分 | 評価額の6分の1 | 評価額の3分の1 |
| その他の住宅用地 | 200平方メートルを超える部分 | 評価額の3分の1 | 評価額の3分の2 |
| 住宅用地に当たらない土地 | 住宅が建っていない土地 | 特例なし | 特例なし |
建物の評価額の決まり方
建物の評価額は「再建築価格方式」によって算出されます。これは、評価対象の家屋と同一のものを評価時点で新築した場合に必要な建築費を算出し、屋根・外壁・天井などの部位ごとに積み上げて評価する方法です。
総務省の資料によると、実際の取得価格を基準とする評価方法は「個別の取引事情によるバラつきが生じる」ことを理由に採用されていません。したがって、ハウスメーカーや建築会社に支払った一軒家の請負金額から評価額を直接逆算することはできません。
築年数の経過による減価補正には下限が設けられており、経年減点補正率は0.20未満には下がりません。固定資産評価基準における木造家屋の基準表では、1年目で0.80、2年目で0.75、3年目で0.70と段階的に低下します。下限である0.20に達するまでの年数は、延べ床面積1平方メートル当たりの再建築費評点数の区分に応じて15年・20年・25年・35年のいずれかに分かれます。
都市計画税が加わる場合
都市計画税は、原則として「市街化区域」内に所在する土地および家屋に対して課税されます。市街化区域外の物件には課されないため、事前に所有物件が対象地域に含まれるかをご確認ください。
地方税法第702条の4により、都市計画税の税率は最高0.3%(100分の0.3)と規定されています。この上限の範囲内で、各市町村が条例によって具体的な税率を定めます。
都市計画税においても住宅用地の特例措置が用意されています。地方税法第702条の3に基づき、小規模住宅用地は課税標準額が評価額の3分の1、一般住宅用地は3分の2に軽減されますが、固定資産税と比較すると軽減幅は小さくなります。
自分で一軒家の固定資産税を見積もることはできる?
自治体から納税通知書が送付される前であっても、評価額の目安を把握できていれば一軒家の固定資産税がおおよそいくらになるかを試算できます。以下に具体的な計算手順を解説します。
計算の流れ
税額試算の流れは大きく4つのステップに分かれます。まず土地と建物それぞれの評価額を確認し、特例を適用して課税標準額を算出します。次に税率を乗じて税額を求め、市街化区域内の場合は都市計画税を別個に計算して合算します。
税額を見積もる手順
- 土地と建物それぞれの固定資産税評価額を確認する
- 土地について住宅用地の特例を適用し、課税標準額を算出する
- 課税標準額に標準税率1.4%を乗じて税額を計算する
- 新築住宅の減額措置対象となる場合は、建物の税額を2分の1に軽減する
- 市街化区域内の場合は、都市計画税を別途試算して合算する
一軒家の税額はいくら?数字を当てはめた計算例
例として、土地の評価額が1,400万円(敷地面積150平方メートル)、建物の評価額が800万円の物件で試算します。税率は標準税率の1.4%とし、新築住宅の減額措置が適用される一軒家として計算します。
土地面積が150平方メートルのため全体が小規模住宅用地に該当し、課税標準額は1,400万円の6分の1である約233万円となります。これに税率1.4%を乗じると、土地の固定資産税額は約3万3,000円です。建物については、評価額800万円に1.4%を乗じた11万2,000円に対し、減額措置(2分の1)が適用されて5万6,000円となります。したがって、この一軒家の固定資産税額は合計で年間約8万9,000円と試算できます。
上記の評価額はあくまでシミュレーション用のモデルケースであり、実際の評価額は土地の立地条件や建物の仕様によって大きく変動します。また、土地には評価額急増時の負担調整措置が設けられているため、課税標準額が単純計算と合致しない場合もあります。正確な税額は、納税通知書に同封される課税明細書にてご確認ください。
減額措置が終わったあとの変化
先ほどの一軒家の試算例において、新築住宅の減額措置の適用期間が終了すると、建物分の税額は5万6,000円から本来の11万2,000円へ戻ります。土地分と合わせた年間税額は、約14万5,000円となります。
実際には経年減点補正によって年々建物の評価額自体が下落するため、単純に税額が2倍になるわけではありません。しかし、軽減期間の終了に伴い前年比で税負担が増加することは避けられません。
有効な対策として、減額措置が終了するタイミングをあらかじめ把握し、将来の増額分を見越して積立計画を立てておくことが挙げられます。一軒家では固定資産税以外にも、将来の修繕費や損害保険料などの維持費が発生します。全体的なコストバランスについては戸建ての維持費を年間ベースで解説した記事もご参照ください。
一軒家の固定資産税を軽減するのにどんな措置が使える?
新築住宅に対しては一定期間の減額措置が用意されている一方、土地に対しては恒久的な特例措置が適用されます。それぞれの適用要件と必要な手続きについて整理します。
新築住宅の減額措置
地方税法附則第15条の6に基づき、2031年3月31日までに新築された住宅は、新たに固定資産税が課されることとなった年度から3年度分、建物分の税額が2分の1に減額されます。2026年度の税制改正に伴い、従来2026年3月31日までとされていた適用期限が5年間延長されました。
また、床面積要件も2026年度税制改正により変更されています。地方税法施行令附則第12条第3項に基づき、2026年4月1日以降に新築された住宅は「40平方メートル以上240平方メートル以下」が対象となります。なお、2026年3月31日までに新築された住宅については、従来の「50平方メートル(戸建て以外の貸家住宅は40平方メートル)以上280平方メートル以下」の要件が適用されます。
なお、地上3階建て以上の耐火・準耐火建築物などに該当する中高層住宅の場合、同条第2項により減額期間が5年度分に延長されますが、一般的な木造2階建て等の一軒家は3年度分となります。
認定長期優良住宅の場合
「長期優良住宅」の認定を受けた物件の場合、地方税法附則第15条の7第1項に基づき、2031年3月31日までに新築された住宅について5年度分にわたり建物税額が2分の1に減額されます(中高層耐火建築物等の場合は7年度分)。
税額の減額割合自体は一般の新築住宅と同様(2分の1)ですが、適用される期間が異なります。一軒家の場合、減額期間が3年度分から5年度分へ2年間延長される形となります。
認定取得に必要な設計費や手続きの手間と、2年分の税額減額によるメリットを比較検討して判断することが推奨されます。なお、長期優良住宅は住宅ローン控除においても優遇措置が設けられているため、併せて総合的に検討するとよいでしょう。制度の詳細については住宅ローン控除の条件と手続きを解説した記事をご確認ください。
| 住宅の種類 | 減額期間 | 減額される割合 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 一般の新築住宅(一戸建てなど) | 3年度分 | 2分の1 | 附則第15条の6第1項 |
| 地上階数3以上の中高層耐火建築物 | 5年度分 | 2分の1 | 附則第15条の6第2項 |
| 認定長期優良住宅 | 5年度分 | 2分の1 | 附則第15条の7第1項 |
| 認定長期優良住宅で中高層耐火建築物のもの | 7年度分 | 2分の1 | 附則第15条の7第2項 |
申告が必要なもの
認定長期優良住宅の減額特例を適用するには申告手続きが必要であり、申告期限は「新たに固定資産税が課されることとなる年度の初日が属する年の1月31日まで」と定められています。地方税法附則第15条の7第3項に基づき、総務省令で定める証明書類等を添付した申告書の提出が必須要件となっています。
例えば2027年度から課税対象となる住宅であれば、2027年1月31日が提出期限です。認定通知書の写しなど必要書類の詳細は自治体によって異なる場合があるため、認定を取得した段階で管轄の市町村窓口(資産税課など)へ事前にご確認ください。
なお、一般の新築住宅における減額措置については、自治体が家屋調査等を通じて適用対象かを判定するため、原則として所有者からの申告は不要なケースが主流です。ただし運用が異なる自治体もあるため、納税通知書が届いた際には減額が正しく反映されているかを必ず確認しましょう。
評価額に納得できないとき
固定資産課税台帳に登録された評価額について不服がある場合は、「固定資産評価審査委員会」に対して審査の申出を行うことができます。地方税法第432条第1項により、納税通知書の交付を受けた日後3か月を経過する日までの期間内に、書面にて申し出ることが規定されています。
審査を申し出る前に、まずは市町村の資産税担当窓口へ問い合わせることをおすすめします。計算ミスや減額措置の適用漏れなどが原因であった場合、窓口での事前確認のみで訂正・是正されるケースもあります。
また、地方税法第416条に基づき、土地価格等縦覧帳簿および家屋価格等縦覧帳簿を縦覧できる「縦覧制度」が設けられています。近隣類似物件の価格と比較できるため、ご自身の評価額が適正水準にあるかを判断する参考となります。縦覧可能期間は毎年一定の期間に限られているため、自治体からの案内にご注意ください。
一軒家の固定資産税は地域や物件によって違うの?
同等の価格帯で取得した一軒家であっても、土地の立地や建物の構造・仕様によって納める税額は変動します。主な影響要因について解説します。
所在地による差
土地の評価額は地価公示価格等の水準を反映するため、同じ土地面積であっても所在地によって評価額は大きく異なります。さらに、市街化区域内に位置するか否かによって都市計画税の課税有無が分かれます。
加えて、税率自体にも地域差が生じる場合があります。標準税率1.4%は目安であり、条例によってこれと異なる税率を設定している自治体が存在するためです。都市計画税についても最高0.3%の範囲内で各市町村が独自に設定します。
一軒家を建てる土地の購入検討段階で、該当自治体の適用税率や市街化区域の指定状況を確認しておくことで、入居後の維持費シミュレーションをより正確に行えます。
建物の構造による差
建物の評価額は再建築価格方式で算出されるため、同じ一軒家でも採用する構造や建築仕様によって差が生じます。固定資産評価基準では「木造家屋」と「非木造家屋」で別個の評価基準表が適用され、年数の経過に伴う減価補正の進み方も異なります。
木造家屋の場合、経年減点補正率が下限(0.20)へ達するまでの年数は、延べ床面積1平方メートル当たりの再建築費評点数(仕様の高級度など)に応じて15年から35年までの範囲で分類されます。高品質・高価格な仕様ほど、下限に達するまでの期間が長く設定されます。
構造別の評価の仕組みを把握しておくことで、建築コストと将来の税負担のバランスを考慮した家づくりが可能となります。構造ごとの特徴や選び方については住宅構造の違いと選び方をまとめた記事をご覧ください。
建て替えや増改築をしたとき
一軒家を増築して床面積が増加した場合、増築部分に対して新しく家屋評価が行われるため、建物全体の評価額および税額が上昇します。また、大規模リフォームや改修工事においても、内容によっては評価額が見直されるケースがあります。
既存家屋を解体して建て替える場合、建物は新規の新築家屋として再評価されます。要件を満たせば、新築住宅の減額措置を再度適用することが可能です。
ただし、旧家屋を取り壊して更地の状態で年を越した場合(1月1日時点)、その土地は「住宅用地」の扱いから外れるため、住宅用地特例が解除されて土地の税額が一時的に跳ね上がるリスクがあります。建て替えの際は、解体・着工・竣工のスケジュールと賦課期日(1月1日)の関係性について、事前に自治体の資産税担当へご相談いただくことを推奨します。
ヤマダホームズでは、ご要望に応じた建物プランのご提案に加え、入居後の維持費や税金まで含めた総合的な資金計画のご相談を承っております。リアルな暮らしを体感していただけるモデルハウスを全国に展開しておりますので、お気軽にご来場ください。詳細は以下の公式サイトよりご確認いただけます。

よくある質問
- 固定資産税評価額はどこで確認できますか
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毎年送付される納税通知書に同封された「課税明細書」にて確認できます。一軒家の購入検討段階などで通知書がない場合は、自治体窓口で「固定資産評価証明書」を取得する方法があります。なお、証明書の取得は所有者本人や代理人等に限られるため、売買契約前であれば仲介業者等を通じて売主側へ確認を依頼するのが一般的です。
- 一軒家とマンションではどちらの固定資産税が高くなりますか
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一概にどちらが高いとは言えません。敷地権(土地持分)の割合、建物の構造(木造・RC造など)、立地の地価水準によってそれぞれ異なるためです。一般的にRC造マンションは木造の一軒家より建物の経年減価が緩やかですが、土地持分は一軒家の方が大きくなります。比較検討する際は、具体的な個別の見積評価額を基に判断する必要があります。
- 固定資産税はいつ納めますか
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地方税法第362条第1項により、固定資産税の納期は原則として「4月・7月・12月・2月」のうち市町村条例で定める月と規定されていますが、自治体の特別の事情に応じて異なる納期が設定される場合もあります。そのため具体的な納期限は自治体ごとに異なります。送付される納税通知書または自治体公式ウェブサイトにてご確認ください。
- 太陽光発電設備を載せると固定資産税は上がりますか
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設置形態によって異なります。屋根材と一体となった太陽光パネルは「家屋の一部」として評価対象(課税対象)に含まれますが、架台を用いて後から屋根上に設置したものは家屋評価に含まれないケースが一般的です。また、家庭用自家消費か事業用発電かによっても取り扱いが変わるため、設置検討時には施工会社および自治体窓口へ事前にご確認ください。
- カーポートや物置にも固定資産税はかかりますか
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「家屋」として認定されるかどうかの要件によって決まります。建築物が「屋根および三方以上の外壁を有し」「土地に定着しており」「目的とする用途に利用できる状態」を満たす場合、固定資産税の課税対象(家屋)と判定される可能性があります。壁のないカーポートは対象外となるケースが多い一方、基礎で固定された大型物置などは判断が分かれるため、設置前に自治体窓口へ確認することをおすすめします。
- 納税通知書が届かない場合はどうすればよいですか
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まずは管轄の市町村窓口へお問い合わせください。引っ越し後の住民票・送付先変更手続きの漏れ、または課税標準額が免税点(土地30万円、家屋20万円)未満である可能性などが考えられます。通知書が届かない状態のまま納期限を過ぎると延滞金が発生する恐れもあるため、例年の送付時期を過ぎても未着の場合は早めの確認が必要です。
まとめ
一軒家の固定資産税は、自治体が算出する評価額をもとにした課税標準額に税率を掛けて決まり、購入価格がそのまま税額に反映されるわけではありません。土地には住宅用地の特例、新築住宅には一定期間の減額措置があり、評価額の目安がわかれば自分でもおおよその税額を試算できます。
ただし、減額措置は期限付きのため、終了後の負担増も見込んでおくことが大切です。一軒家の固定資産税がいくらになるかは所在地や建物の構造によっても変わるため、制度の内容を確認したうえで、入居後の維持費まで含めた資金計画を立てましょう。




