新築時に必要な地盤調査とは?目的、方法と費用、結果の見方まで解説

間取りの打合せが始まってしばらく経った頃に、「地盤調査の結果が出ました」という連絡を受けて、初めてその存在を意識する方は少なくありません。地盤調査は、土地を購入したあとの早い段階で必ず行われる工程で、この結果によって使える基礎の形式や、地盤改良が必要かどうかが決まります。

この記事では、地盤調査が何のために行われるのか、どのような方法があるのか、費用はどの程度かかるのか、そして調査結果をどう読めばよいのかを、ハウスメーカーの実務目線で整理します。

この記事でわかること
  • 地盤調査は建物を安全に支えられるかを確認する調査で、結果が基礎の形式や改良の必要性を左右する
  • 戸建てではスクリューウエイト貫入試験(SWS試験)が主流で、規模の大きい建物や地盤の状態が読みにくい場合はボーリング調査を行う
  • 費用の目安はSWS試験で5万円~10万円程度、ボーリング調査で15万円~30万円程度
  • 結果は「長期許容応力度」という数値で示され、告示の基準に沿って基礎形式や改良の要否が判断される

※この記事に掲載されている価格は、2026年までの相場を参考にしています。昨今の物価高騰に伴い、価格は随時変動する可能性がございます。最新の詳細な価格につきましては、必ず直接店舗までお問い合わせください。

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監修者情報

株式会社ヤマダホームズ
スマチエ編集部

これから家を建てたり、購入を検討している方たちは、どんなことを思い、なにを重視しているのでしょうか。ヤマダホームズがまとめた皆様の声や家づくり調査をご紹介します。

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河野 由美子

二級建築士・インテリアコーディネーター

河野 由美子

二級建築士・インテリアコーディネーター・防災備蓄収納1級プランナーの資格を有する。住宅設備メーカーや住宅コンサルタント会社、大手リフォーム会社での勤務を経て独立。日常の中に非日常を感じられる空間づくりをコンセプトとし、住宅やオフィス・医療施設・店舗などの設計およびインテリアコーディネートに携わる。
建築インテリア関連記事の企画執筆や監修業務、研修講師、建築関連資格対策テキスト監修、工務店施工事例集ディレクションなどの実績も多数。

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目次

地盤調査とは

地盤調査とは、建物を建てる土地の地盤が、その建物を安全に支えられるだけの強さを持っているかを確認する調査です。まずは調査の目的と、建築のどの段階で行われるのかを押さえます。

建物を安全に支えられるかを確かめる調査

建物は自重や住む人・家具や設備などの重さを地盤に伝えながら建っています。地盤が軟らかいまま建ててしまうと、建物が均等に沈まず傾いてしまう「不同沈下」につながるおそれがあります。地盤調査は、こうした事態を避けるために、着工前に地盤の強さを数値で確認する工程です。

地盤の強さに応じて使える基礎の形式が法令で決まる

地盤調査で得られる数値は、建物の基礎の形式を選ぶための根拠になります。平成12年建設省告示第1347号では、地盤の長期許容応力度が1平方メートルにつき20キロニュートン未満の場合は基礎ぐいを用いた構造、20キロニュートン以上30キロニュートン未満の場合は基礎ぐいを用いた構造またはべた基礎、30キロニュートン以上の場合はさらに布基礎も選べると定められています。

地盤改良を行った場合は、改良後の許容応力度で判断されるため、地盤調査は「改良が必要かどうか」だけでなく「改良後にどこまで強さを引き上げれば選べる基礎が広がるか」を確認する工程でもあります。

実施タイミング・時期

地盤調査は、多くの場合土地の引き渡し後、着工前の段階で実施されます。建物の配置と大きさが決まっていないと調査地点を決められないため、プランの打合せがある程度進んだ段階で日程が組まれるのが一般的です。

家づくり全体の流れの中でどのタイミングにあたるのかは、注文住宅の基本的な流れもあわせて確認しておくと、スケジュールの見通しを立てやすくなります。

地盤調査の方法

戸建て住宅で行われる地盤調査には、主に2つの方法があります。建物の規模や地盤の状況によって、どちらを使うかが変わります。

戸建てで広く使われるスクリューウエイト貫入試験

スクリューウエイト貫入試験は、先端がねじ状になったロッドに荷重をかけて地面にねじ込み、貫入していく様子から地盤の硬さを推定する試験方法です。日本産業規格(JIS A 1221)に定められており、以前は「スウェーデン式サウンディング試験方法」という名称でしたが、2020年10月26日に規格が改正され、現在の名称に変更されました。略称のSWS試験という呼び方は変わっていません。

戸建て住宅のような比較的軽い建物であれば、この試験で必要な地盤の強さを確認できることが多く、戸建て住宅の地盤調査で広く使われている方法です。

より大規模な建物や深い地盤で使うボーリング調査

ボーリング調査(標準貫入試験)は、地面に円筒状の穴を掘り進めながら、規定の重さのハンマーを規定の高さから落として地中のサンプラーを打ち込み、その打撃回数から地盤の強さを表す「N値」を求める試験方法です。日本産業規格(JIS A 1219)に定められています。

SWS試験よりも深い層まで調べられ、土の採取もできるため、より詳しい情報を得られますが、その分費用と日数がかかります。3階建てや鉄骨造など建物の規模が大きい場合や、SWS試験だけでは地盤の状態が読みにくい場合に選ばれることが多い方法です。

調査地点は四隅を含む4か所以上が基準

調査を行う場所は、住宅瑕疵担保責任保険の設計施工基準で、建物を建てる位置の四隅付近を含む4か所以上で行うことが基準とされています。一団の造成宅地で地盤が一様と判断できる場合などは、これより少ない地点数で済むこともあります。

同じ敷地のなかでも、場所によって地盤の強さが異なることは珍しくありません。片側だけが軟らかい土地では、建物が傾く不同沈下を防ぐために地盤改良が必要と判断されることがあります。

地盤調査の方法別の特徴
調査方法分かること費用の目安向いている建物
スクリューウエイト貫入試験(SWS試験)地盤の硬さの推定5万円~10万円程度戸建て住宅などの比較的軽い建物
ボーリング調査(標準貫入試験)N値、土質、深い層の状態15万円~30万円程度3階建て・鉄骨造など規模が大きい建物

地盤調査の費用

地盤調査の費用は、調査方法や敷地の広さ、地域によって変わります。ここではおおよその目安と、費用が発生するタイミングを整理します。

費用の目安

戸建て住宅の地盤調査費用は、スクリューウエイト貫入試験で5万円~10万円程度、ボーリング調査で15万円~30万円程度が目安とされています。公的な統計として定められた金額ではなく、一つの目安です。敷地の広さや調査地点の数、地域によって金額は変わりますので、見積書で内訳を確認しておくと安心です。

費用が発生する時期と資金計画

地盤調査の費用は、多くの場合、建物本体の工事費とは別の項目として計上されます。土地の引き渡し後に実施されるため、金額が確定するのは建物のプランがある程度固まった段階になることが多く、資金計画のなかでは見落としやすい項目です。

すでに造成が済んでいる土地であれば、購入後に発生する費用の見通しを立てやすくなります。建築条件付き土地のメリットと隠れたデメリットもあわせて確認しておくと、土地選びの判断材料になります。

調査結果の見方

数値の入った書類を指さして説明する日本人の手元、木のテーブル、接写

地盤調査が終わると、調査会社から報告書が渡されます。専門的な数値が並んでいますが、押さえるポイントは多くありません。

「N値」と「長期許容応力度」の意味

ボーリング調査の報告書には「N値」という数値が示されます。N値は、規定の重さのハンマーを一定の高さから落として地中のサンプラーを30センチメートル打ち込むのに必要な打撃回数で、数値が大きいほど地盤が締まっていることを示します。

SWS試験では、ロッドが自沈する量や回転させながら貫入させるのに必要な力から、「長期許容応力度」という、地盤が長期的にどれだけの力を支えられるかを表す数値に置き換えて示されます。この数値が、前述した告示の基準にそのまま対応します。

数値に応じて基礎の形式や改良の要否が決まる

長期許容応力度の目安と基礎・改良の判断
長期許容応力度使用できる基礎の形式地盤改良の必要性
1平方メートルにつき20キロニュートン未満基礎ぐいを用いた構造改良または杭が必要になる
20キロニュートン以上30キロニュートン未満基礎ぐいを用いた構造またはべた基礎建物の条件により判断が分かれる
30キロニュートン以上基礎ぐいを用いた構造、べた基礎または布基礎改良せずに済むことが多い

この基準に届かない場合に地盤改良が検討されますが、改良後は「改良後の許容応力度」で判断されるため、調査の時点で改良が必要と分かっても、選べる基礎の幅が失われるわけではありません。

土地の成り立ちから傾向をつかむ

国土地理院が公開している「地形分類」では、台地や段丘は主に約258万年前から1万年前の間に形成された平坦面、埋立地や盛土地は地震災害時の液状化や地盤崩壊、洪水発生時の高潮洪水の被害を受けやすい土地と説明されています。台地や段丘の上にある土地は、比較的良好な地盤であることが多い傾向があり、逆に埋立地や盛土地では改良が必要と判断される可能性が高くなります。ただし、これはあくまで傾向であり、最終的な判断は地盤調査の結果によります。

土地を契約する前に地盤の傾向をつかんでおきたい場合は、土地選びで後悔しないためにチェックしておくべきポイントもあわせてご確認ください。

地盤調査の結果や見積りの内訳について、実際にどのような書類が出てくるのか、担当者と一緒に確認しながら進めたいという方も多くいらっしゃいます。ヤマダホームズでは、全国の住宅展示場で家づくりの進め方について直接ご相談いただけます。

よくある質問

地盤調査は土地の購入前に行えますか?

土地の所有者の許可があれば、購入前に調査だけを依頼できる場合があります。地盤に不安がある土地を検討している場合は、売買契約に地盤調査の結果を確認できる条件を付けられないか、不動産会社に相談してみてください。

スクリューウエイト貫入試験だけで十分ですか?

戸建て住宅であれば、スクリューウエイト貫入試験だけで判断できることが多くあります。地盤の状態が読みにくい場合や、建物の規模が大きい場合には、ボーリング調査を追加して精度を高めることもあります。どちらの試験を選ぶかは、敷地の状況を踏まえて住宅会社や調査会社が判断します。

地盤調査の結果、改良が不要と分かることはありますか?

結果的に改良が不要と判断されることもあります。地盤調査は「改良が必要になる工事」ではなく、「必要かどうかを確認するための調査」ですので、調査を行わずに改良の有無を決めることはできません。

調査報告書はいつ受け取れますか?

調査自体は1日で終わることが多いですが、報告書がまとまるまでには一定の日数がかかります。地盤改良の判断が必要な場合はその後の打合せ日程にも影響しますので、余裕を持って調査を依頼しておくと安心です。

まとめ

地盤調査は、建物を安全に支えられる地盤かどうかを確認するための調査で、この結果によって使える基礎の形式や地盤改良の必要性が決まります。戸建て住宅ではスクリューウエイト貫入試験が広く使われ、建物の規模や地盤の状態によってボーリング調査が選ばれることもあります。

費用はスクリューウエイト貫入試験で5万円~10万円程度、ボーリング調査で15万円~30万円程度が目安ですが、金額は敷地の状況によって変わります。報告書に示される長期許容応力度は、そのまま基礎の形式を決める基準に対応しているため、数値の意味を知っておくと打合せの内容を理解しやすくなります。

土地を選ぶ段階から地盤の成り立ちに目を向けておけば、調査結果が出たときに落ち着いて判断しやすくなります。見積書や報告書を受け取ったら、内訳や数値の根拠を担当者に確認してみてください。

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