工務店の選び方とは?後悔しないための判断基準チェックリスト

注文住宅を建てようとハウスメーカーと工務店を両方検討し始めると、比較の難しさに気づく方は少なくありません。ハウスメーカーは会社ごとの特徴が公表されていることが多い一方、工務店は会社の規模や体制、対応できる工事の範囲が一社ごとに大きく異なり、何を基準に見比べればよいのか分かりにくいためです。

この記事では、会社の知名度やイメージに頼らず、ご自身で工務店を比較できるようになるための判断基準を、実務目線で整理します。許可や資格といった法律上の最低ラインから、資金力への備え、保証やアフターサービス、見積もりの透明性、担当者との相性まで、契約前に確認しておきたい項目をチェックリストとして解説します。

この記事でわかること
  • 工務店を選ぶ際の判断基準は、許可・資格、資金力への備え、保証・アフターサービス、施工実績、見積もりの透明性、担当者との相性の6つに整理できる
  • 新築住宅を引き渡す事業者には瑕疵保険加入か保証金供託かのいずれかが法律で義務付けられており、これは工務店にもハウスメーカーにも共通する
  • 建設業許可の有無だけでなく、請負代金の規模に対して許可が必要な工事かどうかをあわせて確認する
  • 地元密着の工務店ならではの視点(地域の気候や法規制への知見など)もチェックポイントになる
  • 契約前に受けられる説明の内容を確認しておくと、契約後の認識のずれを防ぎやすい
監修者情報

株式会社ヤマダホームズ
スマチエ編集部

これから家を建てたり、購入を検討している方たちは、どんなことを思い、なにを重視しているのでしょうか。ヤマダホームズがまとめた皆様の声や家づくり調査をご紹介します。

目次

工務店とハウスメーカーで比較の軸が変わる

チェックリストにペンでチェックを入れる日本人の手元、接写

工務店とハウスメーカーは、同じ注文住宅を扱う会社であっても事業の成り立ちが異なります。この違いを踏まえておくと、工務店に特有の確認ポイントが見えやすくなります。

工務店は地域密着の施工会社で規模も体制もさまざま

工務店とは、特定の地域を拠点に注文住宅の設計や施工を請け負う建設会社を指す呼び方で、法律上の明確な定義があるわけではありません。全国に拠点を持ち規格化された商品を展開するハウスメーカーとは異なり、社員数名の会社から数十名規模まで、扱う工事の範囲も自由設計中心か規格住宅中心かも会社によって幅があります。

工務店を選ぶ場合も、比較の考え方の骨格はハウスメーカー選びと共通していますが、会社ごとの体制の差が大きいぶん、確認する項目を自分で用意しておく必要があります。

比較する軸を先に決めておく

工務店選びで方針が定まらなくなる原因の多くは、価格、デザイン、担当者との相性といった軸を一度に比べようとすることにあります。まず自分にとって譲れない軸を決め、その軸ごとに複数社を横並びで見比べる進め方のほうが、判断はしやすくなります。

工務店選びは、家づくり全体の流れのなかでも比較的早い段階で行う判断です。どの段階で何を決めるのかをあわせて把握しておくと、会社選びを急ぎすぎずに進められます。

以降では、工務店を比較する軸を次の6つに分けて解説します。

  • 許可や資格の有無
  • 資金力や万一の備え
  • 保証・アフターサービスの内容
  • 施工実績や工事の体制
  • 見積もりや契約前の説明の透明性
  • 担当者との相性や地域密着の視点

許可や資格の有無を確認する

工務店を比較する軸のうち、最初に確認しておきたいのが法律で定められた許可や資格です。ここは会社の営業方針にかかわらず共通して満たすべき最低ラインになります。

建設業許可の有無と工事の規模を確認する

建設業を営もうとする者は、建設業法により、原則として国土交通大臣または都道府県知事の許可を受けなければなりません。ただし、1件あたりの請負代金が建築一式工事で1,500万円未満、または延べ面積150平方メートル未満の木造住宅を建てる工事のみを請け負う場合は「軽微な建設工事」にあたり、許可がなくても営業できます。一般的な注文住宅の新築工事はこの基準を超えることが多いため、建設業許可を得ている工務店であるかどうかは確認しておきたい点です。

許可を受けるには、建設業に関し5年以上の経営経験を持つ経営業務の管理責任者を置くこと、営業所ごとに一定の資格や実務経験を持つ専任の技術者を配置すること、一般建設業の許可では自己資本500万円以上などの財産的基礎を備えていること、契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかでないことが必要とされています。許可は取得して終わりではなく、5年ごとに更新を受けなければ効力を失う制度です。

設計を担当する建築士の資格を確認する

建物の設計や工事監理を、他人の求めに応じて報酬を得て業として行う場合、建築士法により建築士事務所として都道府県知事の登録を受ける必要があります。登録を受けた事務所には、設計や工事監理の委託契約を結ぶ前に、建築士が重要事項を書面で説明する義務も課されています。

工務店の規模によっては、社内に建築士事務所を持たず、提携する設計事務所に設計を委託している場合もあります。どちらの体制であっても、実際に設計や工事監理を担当するのが建築士であるか、その事務所が登録を受けているかを確認しておくと安心です。

許可や資格まわりで確認しておきたいこと
確認したいこと確認する方法の例
建設業許可の有無や許可の種類都道府県や国土交通省が公開している建設業者検索の窓口で確認できる
建築士事務所としての登録事務所に掲示されている登録票や名刺の記載で確認できる
新築住宅の資力確保の方法保険法人が発行する付保証明書や、供託の届出内容を契約前に確認する
契約前の重要事項説明設計や工事監理を依頼する際に書面での説明を受けられるか確認する

資金力と万一の備えを確認する

工事は契約から引き渡しまで数か月にわたるため、その間の会社の資金面の備えも比較しておきたい軸です。

新築住宅の引き渡しには資力確保の義務がある

新築住宅を引き渡す建設業者や宅地建物取引業者には、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(住宅瑕疵担保履行法)により、住宅瑕疵担保責任保険への加入か、保証金の供託かのいずれかの資力確保措置を講じることが義務付けられています。これは工務店にもハウスメーカーにも共通する義務です。

あわせて、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)第94条により、新築住宅の請負契約では、引き渡しから10年間、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分の瑕疵について、請負人が担保責任を負うことが定められています。この10年間の責任は法律で定められたもので、注文者に不利になるように契約で短縮することはできません。

工事途中の倒産に備える制度の有無を確認する

資力確保の義務は引き渡し後の瑕疵に備える制度で、工事の途中で会社が経営を続けられなくなった場合の備えとは別のものです。工事の途中で請負者が倒産した場合に備え、前払金や工事を引き継ぐ会社への追加費用を保証する住宅完成保証制度を利用できる工務店もあります。ただし、すべての工務店やハウスメーカーが加入しているわけではなく、契約時にあわせて保証契約を結ぶ必要がある任意の制度です。加入の有無や保証の範囲は会社によって異なるため、契約前に確認しておくとよいでしょう。

保証とアフターサービスの内容を確認する

引き渡し後、実際に住み始めてからの備えとして、保証とアフターサービスの内容も比較しておきたい軸です。

引き渡し後10年間の保証は法律で範囲が決まっている

前述のとおり、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分については、法律で10年間の担保責任が義務付けられています。一方で、それ以外の設備や仕上げの不具合への対応、点検の頻度や年数は、各社が独自に定めている範囲です。

定期点検や独自の保証年数を確認する

定期点検を何年目まで、どのような頻度で行うか、保証の対象を延長する条件があるかは会社ごとに差があります。複数の会社を見学する際に、保証や点検の体制についてもあわせて質問しておくと比較がしやすくなります。

点検や保証の対応窓口が施工した会社自身にあるか、提携する別の会社が窓口になっているかも、引き渡し後の相談のしやすさに関わるため確認しておきたい点です。

施工実績と工事の体制を確認する

ヘルメット姿の日本人の担当者と施主が建築中の現場で話す

会社の説明だけでなく、実際に手がけた住宅を確認できるかどうかも比較の軸になります。

施工実績や見学できる建築事例を確認する

施工実績の件数だけでなく、自分たちが希望する構造や広さ、デザインに近い実例を見学できるかを確認すると、仕上がりのイメージがつかみやすくなります。可能であれば、実際に住んでいる方の声を聞ける機会があるかどうかも確認しておくとよいでしょう。

自社施工か外注中心かで確認する点が変わる

工務店には、大工や職人を自社で抱えて施工する会社と、設計や営業を担い、実際の工事は協力会社に外注する会社があります。どちらが優れているというものではありませんが、外注が中心の場合は、現場を管理する責任者が誰で、どのような頻度で現場を確認しているかを確認しておくと、品質管理の体制が見えやすくなります。

見積もりと契約前の説明を確認する

金額の比較だけでなく、見積もりの内容や契約に至るまでの説明の受け方も確認しておきたい軸です。

見積書の内訳と相見積もりの取り方を確認する

見積もりを複数の工務店やハウスメーカーに依頼し、内容を比較してから会社を決める進め方は、注文住宅の検討でよく行われています。比較する際は、金額だけでなく、本体工事費・付帯工事費・諸費用の区分や、仕様の内訳がどこまで書かれているかを見ておくと、金額の妥当性を判断しやすくなります。

  • 本体工事費、付帯工事費、諸費用の区分がはっきり分かれているか
  • 使用する仕様や数量が、商品名や型番まで書かれているか
  • 工期や、支払いの時期・方法が明記されているか
  • 設計変更が生じた場合の増減額の計算方法が示されているか
  • 見積もりの有効期限が明記されているか

契約前に受けられる説明の内容を確認する

建設業法では、工事の内容や請負代金の額、工期、支払いの時期や方法、設計変更が生じた場合の扱いなど、契約書面に記載すべき事項が定められています。契約前にこれらの項目がどこまで書面で示されるかを確認しておくと、契約後に認識のずれが生じにくくなります。設計や工事監理を建築士事務所に依頼する場合は、契約前に重要事項の説明を受けられるかもあわせて確認しておきましょう。

担当者との相性と地域密着の視点を確認する

ここまでの軸はいずれも会社の制度や体制にかかわるものですが、実際に家づくりを進めるのは担当者との人のやり取りです。最後に、相性と地域密着ならではの視点を確認します。

打ち合わせでのコミュニケーションのしやすさを確認する

打ち合わせの中で、要望に対してメリットだけでなくデメリットや注意点まで説明してくれるか、質問への回答が具体的かどうかは、契約後も長く付き合う相手として見ておきたい点です。担当者が変わる可能性がある場合は、引き継ぎの体制についても聞いておくと安心です。

地元密着だからこそ聞いておきたい視点がある

地元の工務店ならではの強みとして、その土地の気候や風土に応じた建て方、地域の条例や地盤の傾向についての知見が挙げられることがあります。一方で、会社の規模が小さいことへの不安から契約を迷う方もいます。後悔の多くは特定の会社の規模そのものより、ここまで挙げてきた許可や資金力、保証内容、見積もりの説明といった確認項目を事前に押さえていたかどうかに関わっています。

地元密着かどうかにかかわらず、この記事で挙げた軸を一つずつ確認したうえで判断すれば、規模の大小だけで工務店を選ぶ不安は減らせます。

ヤマダホームズでは、全国に住宅展示場を構え、実際の建築実例を見学しながら仕様や工法について相談いただけます。工務店とあわせて比較検討する際の参考として、お近くの展示場もご活用ください。

よくある質問

工務店とハウスメーカーはどちらが費用を抑えやすいですか?

費用は工法や仕様、依頼する地域によって差が大きく、どちらが安いと一概には言えません。会社ごとに標準仕様や工事の範囲が異なるため、同じ条件で複数社から見積もりを取り、本体工事費だけでなく付帯工事費や諸費用まで含めて比較することをおすすめします。

建設業許可を持たない工務店に依頼しても大丈夫ですか?

請負代金が500万円未満(建築一式工事は1,500万円未満、または延べ面積150平方メートル未満の木造住宅)にとどまる軽微な工事であれば、建設業許可がなくても法律上は施工できます。ただし、一般的な注文住宅の新築工事はこの基準を超えることが多いため、許可の有無と、扱おうとしている工事の規模が制度上合っているかをあわせて確認しておくと安心です。

地元の工務店を選ぶと後悔しやすいと聞きますが本当ですか?

会社の規模や地域密着度そのものが後悔の原因になるとは言い切れません。本記事で挙げた許可や資金力への備え、保証内容、見積もりの説明といった項目を事前に確認しているかどうかが、契約後の認識のずれを左右します。地元の工務店であっても、これらの項目を一つずつ確認しておけば、判断材料は十分にそろいます。

住宅完成保証制度に加入していないと契約できませんか?

住宅完成保証制度は、工事途中の倒産に備える任意の制度で、すべての工務店やハウスメーカーが加入を必須としているわけではありません。加入していない場合でも契約自体は可能ですが、工事途中の万一に備えたい場合は、契約前に加入の有無や保証の範囲を確認しておくとよいでしょう。なお、引き渡し後の瑕疵に備える保険加入または供託は、これとは別に法律で義務付けられています。

建築士がいない工務店では家を建てられませんか?

工務店によっては、社内に建築士事務所を持たず、提携する設計事務所に設計を依頼している場合があります。この場合も、実際に設計や工事監理を担当するのが建築士であり、その事務所が建築士事務所として登録を受けていれば法律上の問題はありません。担当する建築士が誰で、どの事務所に所属しているかを契約前に確認しておくとよいでしょう。

まとめ

工務店を選ぶ際の判断基準は、許可や資格といった法律上の最低ラインから、資金力への備え、保証とアフターサービス、施工実績、見積もりの透明性、担当者との相性まで、いくつかの軸に分けて確認できます。どの軸を重く見るかは、家づくりに何を求めるかによって家庭ごとに変わります。

会社の規模や知名度だけで判断せず、この記事で挙げた項目を一つずつ確認しながら複数の工務店を比較していけば、契約後に感じる認識のずれは減らせます。気になる項目があれば担当者に質問し、書面での説明を求めることも判断材料になります。

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