ホームエレベーターの後悔を防ぐ!メリット・デメリットを徹底比較

ホームエレベーターは、上下移動の負担を減らし、介護が必要になったときにも住まいを使い続けられるようにする設備です。一方で「思ったより使わなかった」「維持費が想像以上だった」「間取りが窮屈になった」という後悔の声もあり、導入を迷う方が多い設備でもあります。

判断が難しいのは、費用と使用頻度のどちらも設置してみないと確定しないためです。この記事では、法令上どのような扱いになるのか、費用のどこが動くのか、そして設置するかどうかを何で判断すればよいのかを、順を追って整理します。階段昇降機など、ほかの手段との比較についても解説しますので、後悔のない判断にお役立てください。

この記事でわかること
  • ホームエレベーターは建築基準法上の建築設備で、既存住宅への設置には建築確認が必要になる
  • 減価償却上のエレベーターの耐用年数は17年で、これは税務上の区分であって寿命の保証ではない
  • 後悔につながりやすいのは、維持費・各階のスペース・停電時の扱い・音と振動の4点
  • 判断材料になるのは金額ではなく、1日の上下移動の回数と、それが何年続くかという見通し
  • 階段昇降機や、生活を1階で完結させる間取りに変えるという選択肢もある

※この記事に掲載されている価格は、2026年までの相場を参考にしています。昨今の物価高騰に伴い、価格は随時変動する可能性がございます。最新の詳細な価格につきましては、必ず直接店舗までお問い合わせください。

監修者情報

株式会社ヤマダホームズ
スマチエ編集部

これから家を建てたり、購入を検討している方たちは、どんなことを思い、なにを重視しているのでしょうか。ヤマダホームズがまとめた皆様の声や家づくり調査をご紹介します。

監修者情報
河野 由美子

二級建築士・インテリアコーディネーター

河野 由美子

二級建築士・インテリアコーディネーター・防災備蓄収納1級プランナーの資格を有する。住宅設備メーカーや住宅コンサルタント会社、大手リフォーム会社での勤務を経て独立。日常の中に非日常を感じられる空間づくりをコンセプトとし、住宅やオフィス・医療施設・店舗などの設計およびインテリアコーディネートに携わる。
建築インテリア関連記事の企画執筆や監修業務、研修講師、建築関連資格対策テキスト監修、工務店施工事例集ディレクションなどの実績も多数。

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目次

ホームエレベーターの設置で得られるメリット

まず、どのような場面で効いてくる設備なのかを整理します。ここがはっきりしないまま費用の話に入ると、判断の軸がぶれ、後悔のもとになります。

上下移動の負担が減る

膝や腰に不安がある方、息切れしやすい方にとって、階段の上り下りは毎日繰り返される負担です。ホームエレベーターがあれば、この負担がなくなります。

効果が大きいのは、上階を日常的に使っている住まいです。寝室が2階にある、洗濯物を干すバルコニーが上階にある、といった間取りでは移動の回数が多くなります。逆に上階をほとんど使っていない場合、設備があっても出番は限られ、「思ったより使わなかった」という後悔につながりやすくなります。

介護が必要になったときの備えになる

身体の状況が変わったときに、住まいを使い続けられるかどうかは間取りに左右されます。上階に上がれなくなると、生活空間が1階だけに縮む、あるいは住み替えを検討することになります。

ホームエレベーターは、この選択を先送りできる設備です。介助する側の負担が軽くなる点も見落とせません。バリアフリーの考え方を住まい全体で整理したい場合は、将来を見据えたバリアフリー住宅の基本もあわせてご覧ください。

荷物の上げ下ろしが楽になる

買い物の荷物、季節物の入れ替え、家具や家電の搬入といった場面でも役立ちます。掃除機を各階に持ち運ぶ手間もなくなります。

ただし積載量には制限があります。家庭用は数人乗り程度の製品が中心で、大型の家具がそのまま載るとは限りません。搬入経路として当てにする場合は、かごの内寸と積載量をカタログで確認しておいてください。

場面効果が出やすい条件効果が限られる条件
日常の上下移動寝室や水まわりが上階にある生活のほとんどが1階で完結している
介護・介助上階を使い続けたい、介助者の負担を減らしたい1階だけで生活を組み直せる
荷物の運搬上階に物置や納戸がある収納が1階にまとまっている
階数3階建てで各階を使っている2階建てで上階の使用頻度が低い

設置前に押さえておくべきホームエレベーターの法令上の扱い

費用の前に確認しておきたいのが制度上の扱いです。ここを知らずに進めると、計画が途中で止まることがあります。

設置には建築確認が必要になる

エレベーターは建築基準法上の「建築設備」にあたります。建築基準法施行令第146条第1項第1号でエレベーターが確認等を要する建築設備として指定されており、既存の住宅に設置する場合は建築基準法第87条の4により確認申請が必要です。新築時に設ける場合は、建物の確認申請のなかで一体的に審査されます。

リフォームで後付けする場合に問題になりやすいのが、既存建物の書類です。確認済証や検査済証が手元にあるか、現在の建築基準法に適合しているかによって、進め方が変わります。まずこの点を住宅会社に確認してもらってください。

維持管理と定期検査の位置づけ

設置後は所有者による維持管理が求められます。国土交通省は昇降機の適切な維持管理に関する指針を定めており、資格を持つ検査者による定期検査とその報告についても、建築基準法第12条第3項に基づく制度が設けられています。

どの昇降機が定期検査報告の対象になるかは政令と告示、そして特定行政庁の指定によって決まります。戸建住宅に設けるホームエレベーターの扱いは一律ではないため、報告義務があるかどうかは所管の特定行政庁に確認してください。報告義務の有無にかかわらず、保守点検の契約は安全のために必要です。

ホームエレベーターの設置の後悔につながりやすい点

実際に設置した方から挙がりやすい不満や後悔は、おおむね次の4つに集約されます。いずれも設置前に手を打てるものです。

初期費用と維持費

設置費用は、機種、対応階数、駆動方式、既存建物の工事範囲によって変わります。加えて、稼働にかかる電気代と、保守点検の契約料が継続して発生します。

これらの金額について、公的な統計として公表されているものはありません。本体価格だけで比較せず、保守点検の契約料と、部品交換が必要になったときの費用の扱いまで含めて見積書を出してもらうことが大切です。点検の頻度と、契約に含まれる範囲は会社によって差が出るため、ここを比べずに決めると維持費で後悔しやすくなります。

各階のスペースと間取りをよく確認する必要がある

ホームエレベーターは各階の同じ位置に昇降路を通すため、すべての階で床面積を使います。必要な広さは機種ごとに異なるので、カタログの昇降路寸法で確認してください。

新築なら間取りに織り込めますが、リフォームでは既存のどこかを削ることになります。屋内に設ける場合は収納や吹き抜けを転用することが多く、屋外に増設する場合は基礎と外壁の工事が加わるぶん工事の規模が大きくなります。どちらにしても、削られる場所が生活にどう影響するかを図面で確認しておくと、「間取りが窮屈になった」という後悔を防げます。

停電したときに使えなくなる

停電中はエレベーターが動きません。階段の利用が難しい方が上階にいるときに停電が起きると、移動手段がなくなります。

停電時に最寄り階まで自動で移動して扉を開く機能を備えた製品もありますが、これは閉じ込めを防ぐための機能であり、停電中も使い続けられるという意味ではありません。災害時にどう動くかを想定し、階段でも移動できる状態を保っておくか、1階で完結できる備えを用意しておく必要があります。

音と振動の影響がある

稼働時には駆動音が出ます。昇降路が寝室や書斎に隣接していると、夜間の使用が気になることがあります。振動が建物に伝わる場合もあります。

音の感じ方には個人差があるため、カタログの数値だけで判断するのは難しい部分です。可能であれば、実際に稼働している機種を見せてもらってください。設置位置を寝室から離すだけで解消することもあります。

後悔しないためには?ホームエレベーターの設置判断のポイント

迷ったときは、金額から入らずに使用頻度から入ります。回数が見えれば、費用に見合うかどうかを自分で判断でき、設置後の後悔も避けやすくなります。

1日の上下移動の回数を数える

1週間ほど、家族それぞれが1日に何回上下移動しているか、何のために移動しているかを記録してみてください。数えてみると、想像していたより少ないことも、逆に多いこともあります。

あわせて、5年後、10年後の家族の状況も並べて考えます。今は健康でも、階段がつらくなる時期が来るかもしれません。反対に、お子さまが独立して上階を使わなくなる可能性もあります。判断材料になるのは現在の回数ではなく、その回数が何年続く見込みかという点です。

長い期間で費用を見る

費用は設置時だけでなく、使い続ける期間の合計で考えます。参考になるのが税務上の区分で、減価償却資産の耐用年数等に関する省令の別表第一では、建物附属設備の昇降機設備のうちエレベーターの耐用年数を17年と定めています。

ただしこれは減価償却の計算に使う年数であり、17年で使えなくなるという意味でも、17年は必ず持つという意味でもありません。実際の交換時期は使用状況と保守の内容によって変わります。目安として十数年から20年程度の期間を置き、その間の保守点検料と想定される部品交換費用を足して総額を出しておくとよいでしょう。設備全体の維持費の考え方は戸建ての維持費を年間ベースで整理した記事で扱っています。

設置位置と動線を図面で確認する

設置位置によって住み心地は変わります。玄関からの動線上にあると便利ですが、来客の目に入る位置でもあります。寝室に近いと音が気になり、遠すぎると使わなくなります。

各階でエレベーターを降りてから、実際に使う部屋までどう歩くのかを図面上でたどってください。階段のほうが近い動線になっていると、設置しても使われないまま維持費だけがかかるという後悔につながります。新築で後悔しやすい点を先に押さえておきたい方は、新築で後悔したことをまとめた記事もあわせてご覧ください。

後悔しないために契約前に確認しておきたいこと

  • 1日の上下移動の回数と目的を記録したか
  • 各階の昇降路寸法と、削られる部屋への影響を図面で確認したか
  • 保守点検の契約料と、契約に含まれる範囲を書面で確認したか
  • 停電時の動作と、停電中の移動手段を決めてあるか
  • 昇降路が寝室に隣接していないか
  • 既存住宅の場合、確認済証や検査済証が手元にあるか
  • 定期検査報告の要否を所管の特定行政庁に確認したか

ホームエレベーターが向いている家庭と代替手段

同じ設備でも、住まいと家族の状況によって効果はまったく変わります。当てはまるかどうかを条件で見ていきます。

効果が出やすい条件

階段の利用が難しい家族がいて、その方が上階を使う必要がある場合は、効果がはっきり出ます。車椅子を使う予定がある場合も同様です。

3階建てで各階を日常的に使っている住まいも向いています。移動の回数が単純に多くなるためです。3階建てそのものの計画から検討している段階であれば、3階建ての間取りの考え方とあわせて読むと、階段とエレベーターのどちらに投資するかを比べやすくなります。

慎重に検討したい条件

2階建てで家族全員が階段を問題なく使えている場合、設置しても稼働回数が伸びず、後悔につながる可能性があります。生活の中心を1階にまとめられる間取りであれば、そもそも上下移動を減らすほうが根本的な解決になります。

また、維持費が家計を圧迫しそうな場合や、数年以内に住み替えの可能性がある場合も、慎重に考えたいところです。設備は建物と一体なので、住み替えると持って行けません。

判断の軸効果が出やすい慎重に検討したい
家族の状況階段の利用が難しい家族がいる、その予定がある全員が階段を問題なく使える
住まいの階数と使い方3階建てで各階を日常的に使う2階建てで上階の使用頻度が低い
間取りの余地各階に昇降路のスペースを確保できる削ると生活に支障が出る場所しかない
住み続ける期間長く住み続ける前提がある数年以内に住み替えの可能性がある

階段昇降機などの代わりの手段

エレベーターが合わない場合でも、上下移動の負担を減らす方法はあります。階段に沿ってレールを取り付ける階段昇降機は、各階の床面積を使わずに済み、工事の規模も小さく収まります。座って移動するタイプが中心なので、車椅子のまま移動したい場合には向きません。

手すりの追加、段板の滑り止め、踊り場の照明を明るくするといった対策でも、転倒のリスクは下げられます。そして最も費用がかからないのは、寝室や水まわりを1階に移して上下移動そのものを減らす方法です。設備を足す前に、間取りで解けないかを一度検討してみてください。

ヤマダホームズでは、ホームエレベーターの設置を含め、将来の身体の変化を見込んだ間取りのご提案をしています。昇降路が各階でどれくらいの広さを占めるのか、動線がどう変わるのかは、図面よりも実際の空間で確かめていただくほうがつかみやすい部分です。全国のモデルハウスへのご来場をお待ちしております。

よくある質問

ホームエレベーターは何年くらいで交換が必要になりますか

一律には決まりません。参考になるのは税務上の区分で、減価償却資産の耐用年数等に関する省令ではエレベーターの耐用年数を17年としています。ただしこれは減価償却の計算に使う年数であり、実際の使用可能期間を示すものではありません。交換や大がかりな部品更新の時期は、使用頻度と保守の内容によって変わります。設置時に、部品の供給期間と保守契約の内容を確認しておいてください。

既存の家に後から設置できますか

建物の構造と敷地条件によります。エレベーターは建築基準法上の建築設備で、既存住宅への設置には確認申請が必要です。確認済証や検査済証が手元にあるか、現在の基準に適合しているかによって進め方が変わるため、まず書類の有無を確認してください。屋内に設ける方法と、屋外に増設する方法があり、後者は基礎と外壁の工事が加わるぶん工事の規模が大きくなります。

停電したら閉じ込められませんか

停電時に最寄り階まで自動で移動して扉を開く機能を備えた製品があります。ただしこれは閉じ込めを防ぐための機能で、停電中も使い続けられるわけではありません。停電が続いている間は階段での移動になるため、階段を使えない方がいるご家庭では、1階で過ごせる備えをあわせて考えておく必要があります。搭載されている機能と作動する条件は製品ごとに違うので、仕様書で確認してください。

定期的な検査や報告の義務はありますか

建築基準法第12条第3項に基づく昇降機の定期検査報告の制度があり、対象になる昇降機は資格者による検査と特定行政庁への報告が求められます。どの昇降機が対象になるかは政令と告示、特定行政庁の指定によって決まり、戸建住宅のホームエレベーターの扱いは一律ではありません。所管の特定行政庁に確認してください。なお報告義務の有無にかかわらず、安全のために保守点検の契約は必要です。

エレベーターと階段昇降機はどちらを選べばよいですか

車椅子のまま移動したい、荷物も一緒に運びたいという場合はエレベーターが向いています。座って移動できればよく、工事の規模と費用を抑えたい場合は階段昇降機が選択肢になります。階段昇降機は各階の床面積を使わない一方、階段の幅が狭くなり、ほかの家族の通行に影響します。どちらも設置後に変更しにくいので、使う方の身体の状況と、ほかの家族の使い方の両方から検討してください。

まとめ

ホームエレベーターは、日々の上下移動の負担を減らし、将来の介護にも備えられる便利な設備です。一方で、設置には建築確認などの手続きが必要となるほか、維持費や各階のスペース、停電時の扱い、音や振動など、後悔につながらないよう事前に確認しておきたい点も少なくありません。

導入を判断する際は金額だけで考えず、家族の上下移動の回数やそれがどのくらい続くかを見通したうえで、長期的な費用とあわせて検討することが大切です。階段昇降機や間取りの工夫といった選択肢も比べながら、暮らしに合った後悔のない方法を選びましょう。

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