注文住宅の工法を調べていると、「在来工法」という言葉によく出会います。柱と梁で骨組みを組み上げるこの工法は、日本の木造住宅で長く使われてきた建て方で、木造軸組工法とも呼ばれます。
一方で、海外から伝わったツーバイフォー工法(枠組壁工法)と比較されることも多く、どちらが自分たちの暮らしに合うのかで迷う方も少なくありません。この記事では、在来工法の構造上の特徴と、ツーバイフォー工法との違い、それぞれのメリット・デメリットを整理してご紹介します。
- 在来工法は柱と梁で骨組みを組み、筋かいなどで補強する工法で、日本の木造住宅で広く採用されている
- ツーバイフォー工法(枠組壁工法)は面(パネル)で建物を支える工法で、在来工法とは骨組みの考え方が異なる
- 耐震性は建築基準法の基準を工法にかかわらず満たす必要があり、工法の違いだけで優劣が決まるものではない
- 費用や工期は設計内容や施工会社によって変わるため、工法だけでなく仕様や体制まで確認することが重要
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在来工法(木造軸組工法)とは
在来工法とは、柱や梁を組み合わせて建物の骨組み(軸組)をつくり、そこに筋かいなどの部材を加えて補強する工法です。日本の木造住宅で古くから使われてきた建て方で、木造軸組工法とも呼ばれます。
柱と梁で骨組みを組む仕組み
在来工法では、まず土台の上に柱を立てて梁でつなぎ、柱と梁が交わる部分に筋かいを入れることで骨組みをつくります。骨組みが先に組み上がるため、壁や床を張る前の段階から建物の大まかな形を確認しやすいという特徴があります。
日本の新築住宅で広く採用されている工法
林野庁がまとめた資料(林野庁「令和7年度 森林・林業白書」第1部第3章第1節)によると、木造の新設住宅着工戸数のうち、在来工法(木造軸組工法)が占める割合はおよそ76.5%、ツーバイフォー工法(枠組壁工法)はおよそ21.1%となっています。
ツーバイフォー工法との構造上の違い
在来工法とよく比較されるのが、北米生まれのツーバイフォー工法(枠組壁工法)です。工法名は使用する木材の規格(2インチ×4インチ)に由来しますが、構造の考え方そのものが在来工法とは異なります。
面(パネル)で建物を支える枠組壁工法
ツーバイフォー工法は、規格材で組んだ枠に構造用合板を打ち付けたパネルを壁・床・屋根に使い、六面体になった面全体で建物を支える工法です。柱と梁で骨組みをつくる在来工法に対し、枠組壁工法は壁そのものが構造材を兼ねる点が大きな違いです。
骨組みで支える工法と面で支える工法の特徴
在来工法は柱の位置を調整しやすいため、大きな窓や広い開口部をつくりやすい一方、枠組壁工法は壁の配置が構造に直結するため、壁の位置や大きさに一定の制約が出やすい傾向があります。どちらの工法にも、それぞれの支え方に基づいた設計上の得意・不得意があり、一方が全面的に優れているというものではありません。
| 比較項目 | 在来工法(木造軸組工法) | ツーバイフォー工法(枠組壁工法) |
|---|---|---|
| 支える仕組み | 柱と梁を組んだ骨組み(軸組)で支える | 規格材の枠に構造用合板を打ち付けた面(パネル)で支える |
| 主な部材 | 柱・梁・筋かい | 2インチ×4インチなどの規格材と構造用合板 |
| 設計の特徴 | 柱の位置を調整しやすく、開口部の設計をつくりやすい | 壁の配置が構造にかかわるため、壁の位置や大きさに制約が出やすい |
在来工法のメリット
柱と梁で骨組みを組む在来工法には、設計や暮らし方の変化に応じやすいという強みがあります。
間取りや窓の配置を柔軟に決めやすい
壁の位置を構造上の制約なく決めやすいため、大きな窓や開放的なリビングなど、間取りの自由度を生かした設計をつくりやすいという特徴があります。
増改築やリフォームに対応しやすい
骨組みが柱と梁で構成されているため、将来的に間取りを変更する増改築の際にも、構造に影響しない壁であれば、入れ替えや増減の対応がしやすいといわれています。ただし、増築の可否は既存部分の耐力壁のバランスや接合部の状態によって変わるため、実際に増改築を検討する段階で施工会社に構造を確認してもらう必要があります。
在来工法のデメリット・注意点
設計の自由度が高い一方で、在来工法には検討の際に押さえておきたい点もあります。
職人の技術力が仕上がりに影響しやすい
在来工法は、柱や梁の加工、筋かいの取り付けなど、現場での手作業の工程を比較的多く含む工法です。そのため、施工を担う職人の技術力や経験によって、仕上がりの精度に差が出やすいといわれています。依頼先を選ぶ際は、木造軸組工法の施工実績や体制を確認しておくと安心です。
工期の見通しに幅が出やすい
現場での加工・組み立て工程が多い分、天候や職人の手配状況によって工程が前後することがあり、着工から完成までの期間には幅が出やすい傾向があります。実際の工期は延床面積や仕様、施工体制によって変わるため、見積もりの際に具体的なスケジュールを確認しておくとよいでしょう。
耐震性についての考え方
家づくりで工法を比較するとき、地震への強さが気になるという方も多いのではないでしょうか。ここでは、在来工法とツーバイフォー工法の耐震性について、制度面から整理します。
建築基準法の耐震基準はどちらの工法にも適用される
日本の住宅は、工法にかかわらず建築基準法および建築基準法施行令に定められた耐震基準を満たす必要があります。在来工法も枠組壁工法(ツーバイフォー工法)も、地震力や風圧力に対して必要な耐力壁の量を確保する壁量計算などの規定が適用される対象です。したがって、工法の違いだけで耐震性の優劣が決まるものではありません。
なお、1981年(昭和56年)には建築基準法の耐震基準が大きく見直され、震度6強から7程度の地震でも倒壊しないことを目安とする、いわゆる新耐震基準が導入されました。さらに2000年には新耐震基準の改正があり、地盤の強さに応じた基礎設計や接合金物の指定、耐力壁の配置バランスを重視した設計の義務化などが加わりました。現在新築される住宅は、工法を問わず、2000年の新耐震基準の改正内容に基づいて設計されています。
工法だけでなく設計・施工の質が重要
同じ工法であっても、耐力壁の配置バランスや接合部の金物、基礎の仕様などによって、実際の耐震性能には差が生まれます。耐震等級の仕組みを確認しながら、工法単体ではなく設計・施工の内容まであわせて確認することが、家づくりでは大切です。
費用の目安
在来工法とツーバイフォー工法では、費用面でもそれぞれ異なる傾向があるといわれています。
木造住宅の建築費の水準
在来工法と枠組壁工法(ツーバイフォー工法)を分けて建築費を比べた公的な統計は見当たりません。ただし、木造住宅全体の水準であれば公的な数字で確認できます。国税庁が公表している「建物の標準的な建築価額表」は、国土交通省の建築着工統計をもとに構造別の1平方メートルあたり工事費を算出したもので、令和5年に建築された木造・木骨モルタル造は1平方メートルあたり20.4万円とされています。住宅以外の建築物も含む数字ですが、構造ごとの水準をつかむ手がかりになります。
実際に注文住宅を建てた世帯の金額としては、住宅金融支援機構の2025年度フラット35利用者調査で、注文住宅の建設費が全国平均4,259.8万円、住宅面積が118.4平方メートルとなっています。1坪あたりに換算すると約119万円です。工法を問わない平均値ですが、木造住宅の建築費を考えるときの出発点になります。
費用が変わる主な要因
在来工法は柱の位置を個別に調整しやすい分、間取りや設計の自由度が高くなりやすい工法です。設計の自由度が高くなるほど、部材の加工や仕様が住宅ごとの個別対応になりやすく、規格化された工法に比べて費用が変動しやすい傾向があります。ただし、実際の費用は延床面積や仕様、依頼するハウスメーカーや工務店によって大きく変わるため、工法だけで一律に高い・安いと判断できるものではありません。おおよその目安を知りたい場合は、同じ条件で複数社から見積もりを取り、工法以外の仕様の違いも含めて比較することをおすすめします。
工期の目安
工期についても、工法による傾向の違いが語られることがあります。
在来工法は柱や梁の加工、筋かいの取り付けなど、現場での手作業の工程を多く含みます。そのため、天候や職人の手配状況によって工程が前後しやすく、着工から完成までの期間には幅が出やすいとされています。工期は延床面積や仕様、施工体制によっても変わるため、契約前にスケジュールの目安を確認しておくと安心です。
在来工法は骨組みが先にできあがるため、実際の住宅で柱の位置や梁の高さ、空間の広がりを目で見て確かめておくと、間取りの検討がしやすくなります。ヤマダホームズでは全国に住宅展示場をご用意しており、実際の建物をご覧いただきながら、工法や構造について担当者にご相談いただけます。

よくある質問
- 在来工法とツーバイフォー工法を組み合わせて建てることはできますか。
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一部の部位で異なる工法を併用する「混構造」の建物も存在しますが、構造計算や申請の手続きが複雑になりやすく、対応できる施工会社は限られます。検討する場合は、混構造の実績がある会社に早い段階で相談することをおすすめします。
- 在来工法の家は建てたあとに増築しやすいですか。
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柱と梁で骨組みを構成する在来工法は、位置関係を調整すれば増築時にも比較的対応しやすいとされています。ただし増築の可否は既存部分の耐力壁バランスや接合部の状態によって変わるため、増築を見越している場合は設計段階で施工会社に伝えておくと、対応の選択肢が広がります。
- 工法によって住宅ローンの審査基準は変わりますか。
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住宅ローンの審査は主に借入者の返済能力や物件の担保評価にもとづいて行われ、工法そのものが審査基準に直接影響するわけではありません。ただし、フラット35のように技術基準への適合を求める住宅ローン商品もあるため、利用したいローン商品がある場合は、対応可否を施工会社に事前に確認しておくとよいでしょう。
まとめ
在来工法は、柱と梁で骨組みを組み、筋かいで補強する工法で、間取りの自由度や増改築のしやすさに強みがあります。一方で、現場での手作業が多い分、職人の技術力や工期の見通しには幅が出やすいという面もあります。
ツーバイフォー工法(枠組壁工法)は、面(パネル)で建物を支える点に特徴があり、在来工法とは異なる強みを持つ工法です。耐震性については工法にかかわらず建築基準法の基準を満たす必要があるため、工法の違いだけで優劣を判断するのではなく、設計内容や施工会社の実績まで含めて確認することが家づくりでは大切です。




