住宅会社の説明やカタログで「耐震等級3相当」という言葉を目にすることがあります。「耐震等級3」と並べて書かれていると同じもののように見えますが、この2つは制度上の扱いが異なります。
この記事では、「相当」という表現が何を指しているのか、等級3を取得した場合と何が違うのか、そして契約前に確認すべきポイントを住宅会社の実務目線で整理します。
- 耐震等級は、登録住宅性能評価機関に申請して評価を受けることで表示されるもので、申請は任意。
- 「相当」は制度上の正式な用語ではなく、評価を受けていない状態を指して使われることがある。
- 地震保険の耐震等級割引は、住宅性能評価書などの証明書類で等級が確認できた場合に限り適用される。
- 長期優良住宅の認定も、耐震性基準への適合を所管行政庁が確認する手続きを経る必要がある。
- 同じ「相当」であっても、どの計算方法で検証したかによって設計の具体的内容は変わる。
- 評価書を取得するのか、設計段階と建設段階のどちらまで受けるかを契約前に決めておくとトラブルを防ぐことができる。
耐震等級3と「相当」の違い

まずは、耐震等級という制度がどのような仕組みで成り立っているのかを確認します。ここを押さえることで、「相当」という表現の位置づけが明確になります。
耐震等級は評価機関が評価して表示する
耐震等級は、住宅の品質確保の促進等に関する法律にもとづく住宅性能表示制度の項目の1つです。同法では、国土交通大臣の登録を受けた登録住宅性能評価機関が、申請により住宅性能評価を行い、住宅性能評価書を交付することができると定められています。
ここで重要なのは「申請により」という点です。評価を受けるかどうかは建築主の判断に委ねられており、申請を行わなければ等級は表示されません。建築確認は建築基準法への適合を確認する手続きであり、その中で耐震等級が審査されるわけではありません。実際の設計内容と、制度上の等級表示は別の手続きによって決まります。
「相当」は制度上の用語ではない
評価方法基準には、耐震等級として1・2・3の水準が定められていますが、「相当」という等級や区分は存在しません。つまり「耐震等級3相当」は制度上の用語ではなく、住宅会社が説明のために使用している表現です。
この言葉の使われ方には幅があります。等級3の基準を満たす設計を行ったうえで評価の申請をしていないケースもあれば、自社の基準で同等と判断しているケースもあります。表現だけでは相応と判断した基準内容を正確に把握できないため、後述するように、何をもって「相当」としているのかを確認することが大切です。
等級の水準そのものは変わらない
耐震等級の水準は、評価方法基準によって明確に定義されています。建築基準法が想定する極めて稀に発生する地震力に対して、等級に応じた倍率を乗じた力の作用により、構造躯体が倒壊・崩壊等しないことを検証するものです。
| 等級 | 倍率 |
|---|---|
| 3 | 1.50 |
| 2 | 1.25 |
| 1 | 1.00 |
等級1が建築基準法のレベルにあたります。
等級3を取得するとなにが変わる?
設計内容が同一であっても、評価書の有無によって取り扱いが異なる場面があります。制度上明確になっている主なポイントを解説します。
地震保険の割引には書類が必要になる
地震保険には耐震等級割引があり、割引率は損害保険料率算出機構が算出した共通の基準によります。耐震等級3は50%、等級2は30%、等級1は10%の割引です。
ただし、適用には一定の条件があります。この割引は、耐震等級が住宅性能評価書や耐震性能評価書などの公的書類により確認できた場合に限り適用されると定められています。設計が等級3の水準を満たしていても、証明となる書類がなければ割引を受けられません。ここが「相当」のままとした場合に最も明確な差が出る点です。
| 項目 | 耐震等級3を取得 | 「耐震等級3相当」 |
|---|---|---|
| 住宅性能評価書の交付 | あり | なし |
| 地震保険の耐震等級割引 | 書類により確認できれば適用 | 書類がなければ適用されない |
| 制度上の表示 | 耐震等級3として表示できる | 制度上の表示ではない |
| 第三者による確認 | 登録住宅性能評価機関が評価 | 住宅会社の判断による |
| 費用と工程 | 申請手続きと評価の手数料が加わる | 手続きは発生しない |
長期優良住宅の認定は別の手続きになる
長期優良住宅の認定基準では、耐震性の要件として耐震等級(倒壊等防止)等級2以上が求められます。認定を受けることで、登録免許税の税率引き下げ、不動産取得税の控除額増額、固定資産税の減額措置延長といった税制上の優遇措置や、フラット35Sの金利引き下げの対象となります。
この認定は、所管行政庁へ申請して取得するものです。設計が基準を満たしていても、申請手続きを行わなければ認定は受けられません。
将来の売却や相続で示せる書類が残る
住宅性能評価書は、第三者機関が基準に沿って客観的に評価した結果を証明する書面です。将来的に住宅を売却・譲渡したり相続したりする際、建物の性能を証明する貴重な資料として活用できます。
設計図書や構造計算書だけでも設計内容は把握できますが、それを正しく読み解ける人は限られます。評価書があれば、専門知識を持たない相手にも等級という共通の指標で客観的に伝えられる点に大きな価値があります。
「相当」と判断した理由を確認する

「相当」だからといって、必ずしも構造や安全性が劣るわけではありません。どのような根拠や計算に基づいて「相当」と表記しているのかを具体的に確認することで、正しく比較検討できるようになります。
どの計算方法で確かめたのかを聞く
木造住宅で耐震等級の水準を確認する方法は一律ではなく、壁量計算による簡略的な方法のほか、許容応力度計算などの緻密な計算方法があります。計算の精度や検証項目が異なれば、同じ等級3相当であっても構造の安全余裕度や設計の質は変わってきます。
「耐震等級3相当」と説明を受けた場合は、どの計算手法を用いて確認しているのかを質問してみてください。具体的に回答が得られるかどうかだけでも、技術的な検討度合いを測る目安となります。
図面と計算書が引き渡されるかを確認する
評価書を取得しない場合、設計内容を客観的に示す資料は図面や各種計算書となります。これらが引渡し時に提供されるのか、またどのような種類・範囲の図面が含まれるのかを契約前に必ず確認しておきましょう。
将来のリフォームや売却の際、これらの書類の有無が検討時のスムーズさに直結します。特にどの壁が耐力壁であるかを明記した図面は、将来の間取り変更や補強計画を立てる際の重要な出発点となります。
施工が設計どおりかを誰が確認するかを決める
いくら設計段階で等級3相当の水準を満たしていても、現場で正確に施工されなければ十分な性能は発揮されません。建設住宅性能評価を受ける場合は、第三者機関が工事中に現場検査を実施したうえで評価書が交付されます。
評価を受けない場合は、住宅会社による社内検査のみで施工状態を確認することになります。どのような体制で、どの工程において検査が行われるのかを事前に確認しておくことで、その会社の品質管理に対する姿勢が見えてきます。
契約前に決めておくこと
耐震等級の評価を取得するかどうかは、着工後に変更することが困難な判断です。後悔を防ぐためにも、建築契約を結ぶ前に以下のポイントを整理しておきましょう。
評価書を取得するかどうかを決める
はじめに、住宅性能評価書を取得するかどうかを検討します。地震保険の割引を適用させたい場合や、将来の売却時に備えて客観的な証明書類を残したいという目的がある場合は、評価書を取得する方向で検討するのが望ましいでしょう。
設計段階と建設段階のどちらまで受けるかを決める
設計住宅性能評価は設計図面の内容を評価するものであり、建設住宅性能評価は実際の施工状況を現場検査したうえで交付されるものです。設計通りに正しく建てられたことまで第三者機関の書面で証明したい場合は、建設住宅性能評価まで受ける必要があります。どちらを選択するかによって費用やスケジュールが変動するため、あらかじめ両方の見積もりを取得して比較検討しましょう。
見積書のどこに出るかを確認する
評価の申請手数料や申請に伴う設計図書の作成費用などは、本体工事費用とは別項目として計上されるのが一般的です。見積書の総額だけを比較しても費用の内訳が見えにくいため、どの項目にいくら費用が含まれているかを詳細に確認することが大切です。
耐力壁の位置やそれが間取り・開口部にどう影響するかは、平面の図面上だけでなく、実際の空間で確認したほうがイメージを掴みやすくなります。ヤマダホームズでは、全国の住宅展示場にて耐震構造の考え方や等級取得に関する具体的なご相談を承っています。

よくある質問
- 「耐震等級3相当」と説明されたら断ったほうがよいですか
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直ちに断る必要はありません。評価手続きを行っていないだけで、設計自体の安全性や品質が劣っているとは限らないためです。ただし言葉の定義だけでは具体的な内容を判断できないため、どの計算手法を用いているか、図面や計算書が引き渡されるか、評価書を取得するオプションがあるかなどを確認しましょう。回答の具体性や対応の姿勢自体が、信頼できる会社かを見極める重要な判断材料となります。
- 後から住宅性能評価を受けることはできますか
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原則として新築の建築工程の中で受ける必要があります。設計住宅性能評価は着工前、建設住宅性能評価は施工途中の各段階で検査を行う仕組みであるため、建物完成後に遡って新築住宅としての評価を取得することはできません。なお、既存住宅(中古住宅)を対象とした評価制度も別に存在しますが、評価項目や確認内容が異なります。評価書が必要かどうかは、必ず着工前に決定してください。
- 長期優良住宅の認定があれば耐震等級の評価書は不要ですか
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これらは制度として別個のものです。地震保険の耐震等級割引を適用するには、指定の証明書類によって耐震等級を証明できることが要件となっています。そのため、どのような書類で確認可能かを加入予定の保険会社または代理店へ事前に確認することをおすすめします。長期優良住宅の認定通知書のみで適用可能かどうかは、保険会社ごとの取扱いによって異なります。
- 評価書があれば地震のときに壊れないということですか
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必ずしも絶対的な安全を保証するものではありません。耐震等級は、想定される地震力に対して構造躯体が倒壊・崩壊しにくい耐力を持っているかを理論的に計算・検証して表示するものです。実際の被害状況は、地盤の特性や地震波の性質、施工の精度など多様な要素に影響されます。等級の取得は判断指標の一つとして捉え、地盤調査に基づく適切な地盤改良や丁寧な施工管理と組み合わせて確認することが重要です。
まとめ
耐震等級は、登録住宅性能評価機関に申請して評価を受けることで初めて表示されるものであり、申請するかどうかは建築主の任意です。評価基準に「相当」という区分は存在せず、「耐震等級3相当」は制度上の正式な用語ではありません。必ずしも性能が劣るという意味ではありませんが、言葉だけでは実際の設計内容を正確に判断できないのが実情です。
最も明確な違いは「公的な証明書類の有無」です。例えば地震保険の耐震等級割引は、住宅性能評価書などの指定書類で等級を確認できた場合に限って適用されます。設計上の性能が同等であっても、証明書類がなければ割引は適用されません。「相当」と説明された場合は、どの計算手法で確認しているか、図面や計算書が引き渡されるか、評価書を取得する選択肢があるかを、必ず契約前に確認・比較しましょう。




