家を建てるときに、オール電化にするかガスを併用するかは、早い段階で決める必要があります。給湯器の種類やキッチンの設備、電気の契約容量も、この判断によって決まるためです。
時には、「オール電化は時代遅れ」といった意見を目にすることもあります。しかし、その根拠として挙げられる電気料金は、直近の統計を見ると単純に上がり続けているわけではありません。何が本当に変化したのかを押さえたうえで判断することが大切です。
この記事では、オール電化の仕組みや、選んだ場合に得られるメリット・デメリットを整理します。実際に聞かれる後悔の声や、それを避けるための確認事項もあわせて解説します。
- 電気料金は2022年度に上昇したあと、2024年度には2022年度より低い水準に戻っている
- 2026年度の再エネ賦課金は1kWhあたり4.18円で、月400kWh使用する家庭では月額1,672円に相当する
- コンロによる火災は年2,838件発生しており、そのうちガスコンロが2,396件を占める
- 判断の分かれ目は「日中の在宅時間」と「太陽光発電を設置できるか」
- 停電時にはすべての設備が停止するため、代替手段を想定して計画する必要がある
- エコキュートの導入には設置スペースと運転音への配慮が必要となる
※この記事に掲載されている価格は、2026年までの相場を参考にしています。昨今の物価高騰に伴い、価格は随時変動する可能性がございます。最新の詳細な価格につきましては、必ず直接店舗までお問い合わせください。
そもそもオール電化住宅って何?
まず、オール電化の基本的な仕組みを整理します。設備の組み合わせと料金プランの関係を押さえておくことで、メリットを活かせるかどうかを判断しやすくなります。
使われる設備
オール電化住宅とは、給湯、調理、冷暖房のエネルギー源をすべて電気でまかなう住宅のことです。中心となるのは給湯設備であり、多くの場合はヒートポンプ式の電気給湯機が採用されます。
| 設備 | 役割 | 仕組み |
|---|---|---|
| ヒートポンプ給湯機(エコキュート) | 給湯 | 大気中の熱を集めてお湯を沸かし、貯湯タンクにためる |
| IHクッキングヒーター | 調理 | 電磁誘導で鍋やフライパン自体を発熱させる |
| エアコン | 冷暖房 | ヒートポンプで屋外の熱を出し入れする |
| 電気式床暖房や蓄熱式暖房機 | 暖房 | 電気で発熱させる、または蓄熱体にためた熱を放出する |
「給湯省エネ2026事業」では、高効率給湯器としてヒートポンプ給湯機のほか、電気とガスを併用するハイブリッド給湯機や家庭用燃料電池も補助対象となっています。オール電化を採用するかどうかは、これらの選択肢の中からどれを選ぶかという検討でもあります。
料金プランとの関係
オール電化の経済性は、時間帯によって単価が変動する料金プランを前提として成り立っています。夜間の単価が安くなる反面、昼間の単価は一般的なプランよりも高めに設定されるのが主流です。
電気給湯機は、単価の安い夜間の時間帯に翌日分のお湯を沸かして蓄えます。洗濯機や食器洗い乾燥機などもタイマー機能を利用して夜間に動かせば、同じ電力量であっても光熱費を抑えられます。
逆に言えば、昼間に多くの電気を使用するライフスタイルの場合、このメリットを活かしにくくなります。この点が判断の大きなポイントとなるため、後ほど詳しく解説します。
電気料金がどう動いてきたか
オール電化を避ける理由として電気料金の上昇が挙げられることもありますが、直近の動向を見ると「単純に上がり続けている」というわけではありません。
資源エネルギー庁の「エネルギー動向2026年版」によると、燃料輸入価格の高騰によって2022年度に電気料金が上昇したものの、その後は燃料価格の低下などに伴い、2024年度には2022年度よりも低い水準に落ち着いています。なお、2011年度以降の上昇傾向は、原子力発電所の稼動停止と燃料価格高騰により、火力発電のコストが増加したことが主な要因とされています。
一方で、再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)は電気料金に継続して上乗せされています。経済産業省の公表によると、2026年度の賦課金単価は1kWhあたり4.18円であり、1か月の電力使用量が400kWhの家庭では月額1,672円(年額20,064円)の負担となります。この単価は2026年5月検針分から2027年4月検針分まで適用されます。
電気の使用量が多い家庭ほど、この賦課金による負担額も大きくなります。オール電化は電気の使用量が増える傾向にあるため、賦課金の負担も比例して高くなる点には注意が必要です。
オール電化を選ぶメリット
実際にオール電化住宅へ住んでいる方からは、安全性とお手入れのしやすさが主なメリットとして挙げられます。それぞれの詳細を見ていきましょう。
コンロによる火災のリスクを軽減できる
総務省消防庁の「令和6年版 消防白書」によると、令和5年中に発生したコンロ火災2,838件のうち、ガスコンロによるものが2,396件を占めています。主な発生原因としては、「放置する」「消し忘れる」といった不注意によるものが1,169件と最も多くなっています。
IHクッキングヒーターは、鍋が置かれていない状態では加熱されません。また、トッププレートから直接炎が出ないため、衣類の袖口へ着火するリスクも防げます。火の消し忘れによる出火原因そのものを減らせる点が、非常に大きなメリットといえます。
同白書によると、建物火災のうち住宅火災が1万2,112件と全体の57.7%を占めており、出火要因としてはコンロやたばこ、電気機器によるものが多く挙がっています。コンロは住宅火災における主要な原因のひとつです。
キッチンのお手入れが簡単になる
IHクッキングヒーターの天板はフラットな形状をしているため、汚れてもサッと拭き取ることができます。五徳を取り外して洗う手間がかかりません。
また、燃料を燃やさないため、調理中に発生する水蒸気や燃焼ガスも抑えられます。換気扇フィルターや壁面に油汚れが付きにくくなるのもメリットです。
ただし、天板はガラス製のため、重い鍋を落とすと割れる恐れがあります。また、揚げ物の油ハネや吹きこぼれ自体は発生するため、全くお手入れが不要になるわけではありません。
ガスの基本料金がなくなる
ガスを使用しないため、ガスの基本料金がかからなくなります。光熱費の支払いが電気に一本化され、管理がしやすくなる点もメリットです。
特に都市ガスが普及していない地域では、この削減効果が大きく期待できます。プロパンガスの場合は会社によって基本料金が異なるため、検討の際は実際の請求書などで費用を比較してみましょう。
ただし、ガスを使わない分、電気の使用量は増加します。基本料金が無くなることと、光熱費の総額が下がることはイコールではありません。現在の光熱費をもとに事前に試算を行ってから判断することをおすすめします。
オール電化のデメリットとよくある後悔の内容
続いて、オール電化を導入したことで後悔しやすいポイントと、その原因について解説します。
日中に在宅する生活スタイルとの相性が悪い
時間帯別の電気料金プランは、日中の単価が高く設定されています。そのため、テレワークや育児などで昼間に家で過ごす時間が長いと、単価の高い時間帯に電気を消費することになります。
「共働きを前提に導入したが、育児休業や在宅勤務で昼間の在宅時間が増え、請求額が高くなった」という後悔の声も実際にあります。契約時と数年後の生活様式が変化する可能性も考慮しておく必要があります。
検討の際は現在の生活だけでなく、将来的に最も日中の在宅時間が長くなる時期を想定しましょう。出産、働き方の変化、定年退職などは、いずれも日中の電力使用量を増やす要因となります。
停電時にすべての生活インフラが止まってしまう
エネルギー源を電気に一本化すると、停電が発生した際に給湯、調理、冷暖房がすべて停止してしまいます。ガスを併用している場合であれば、停電中であってもガスコンロを使用することが可能です。
資源エネルギー庁の「エネルギー動向2026年版」によると、日本の停電回数や停電時間は世界的に見ても非常に低い水準を保っていますが、北海道胆振東部地震(2018年度)や大規模な台風被害(2019年度)の際には、停電回数・時間ともに増加しました。大規模災害時には、長時間の停電が発生するおそれがあります。
対策としては、カセットコンロやボンベの備蓄、ポータブル電源の確保、太陽光発電・蓄電池の設置などが有効です。貯湯タンク内の水やお湯を非常用として取り出せる機種もありますが、取り出し方や使用条件は製品によって異なるため、取扱説明書で事前によく確認しておきましょう。詳しい備えについては、家庭用太陽光発電と蓄電池による停電対策を解説した記事も参考にしてください。
設備の費用と入れ替えの負担が大きくなりやすい
ヒートポンプ給湯機はガス給湯器に比べて本体が大きく、貯湯タンクとヒートポンプユニットの2つを設置する必要があります。そのため、設置費を含めた初期費用はガス給湯器より高くなる傾向があります。
給湯機は将来的に交換が必要となるため、交換時期や費用をメンテナンスコストとして見込んでおくことが重要です。費用の目安については、給湯器の交換費用相場を解説した記事をご覧ください。
なお、「給湯省エネ2026事業」では、ヒートポンプ給湯機の設置にあたり基本額7万円/台、性能加算額3万円/台の補助金が用意されています。新築や交換時に利用できる可能性があるため、施工業者に確認してみましょう。
調理器具と火力の感覚
IHクッキングヒーターでは、使用できる調理器具が制限されます。底が平らで、機種に対応した材質の器具が必要です。土鍋や中華鍋などは原則として使用できません。
また、直接火が見えないため、火力は画面の数値で判断します。鍋を浮かせると加熱がストップするため、鍋を振る調理や直火での炙り調理はできません。
これらは慣れの問題でもありますが、料理のスタイル自体を変更せざるを得ない場合もあります。普段よく作る料理を振り返り、支障がないか確認しておくと安心です。ショールームなどで実際の使い勝手を試してみるのもおすすめです。
屋外機の設置場所と運転音が気になる
ヒートポンプユニットと貯湯タンクは屋外に設置するため、敷地面積に余裕がない場合は配置計画が課題となります。
また、ヒートポンプユニットは主に夜間に稼動するため、運転音への配慮が不可欠です。自宅や隣家の寝室の近くを避けて設置するのが基本となります。
設置後の位置変更は容易ではないため、配管経路と合わせて設計段階でしっかりと計画を立てておきましょう。隣地との距離が近い場合は、配置図上で十分に確認しておくことが大切です。
結局オール電化は導入すべき?
オール電化の向き・不向きを判断するポイントは限られています。以下の条件を順に確認してみましょう。
日中の在宅時間から考える
家族全員が日中外出しているライフスタイルであれば、時間帯別プランのメリットを活かしやすくなります。反対に、日中に誰かが常時在宅している生活では、単価の高い時間帯の電気使用量が増えてしまいます。
ただし、太陽光発電を併設できる場合は状況が変わります。発電した電気を日中に自家消費することで、高単価な買電を抑えられるため、むしろ日中の在宅時間が長いことがメリットとして働きます。
つまり判断の基準は、「日中の在宅時間」と「太陽光発電の設置可否」の2点に集約されます。この組み合わせによって最適な選択が見えてきます。
| 日中の在宅時間 | 太陽光発電を載せる場合 | 太陽光発電を載せない場合 |
|---|---|---|
| 短い | 夜間の安い時間帯と自家消費の両方が使える | 時間帯別プランの仕組みが働きやすい |
| 長い | 発電した電気を使う時間と在宅時間が重なる | 高い時間帯の使用量が増えるため慎重な検討が要る |
太陽光発電を載せるかどうか
屋根の形状、方角、面積によって設置できる発電容量は異なります。また、周りの建物による日陰の影響も受けるため、設計段階で実際の発電予測容量を正確に確認することが大切です。
現在、売電単価は下落傾向にあります。経済産業省が発表した2026年度の住宅用太陽光発電(10kW未満)買取価格は、2025年度下半期からの「初期投資支援スキーム」が適用され、1〜4年目が24円、5〜10年目が8.3円と区分されています。そのため、売電収入を得るよりも自家消費によって電気代を抑える方が経済的メリットは大きくなっています。
こうした背景から、オール電化と太陽光発電は非常に相性が良いと言えます。昼間の発電時間帯にお湯を沸かす機能を備えた給湯機を活用すれば、自家消費率をさらに高めることが可能です。
安全性をどこまで重視するか
小さな子どもや高齢の家族がいるご家庭では、火を使用しない安心感は大きなメリットになります。消防白書のデータが示す通り、火の消し忘れは住宅火災の主要原因となっています。
一方、最新のガスコンロにも立消え安全装置や消し忘れ消火機能などが標準装備されています。どちらを選ぶ場合でも、備わっている安全機能を事前に把握しておきましょう。
最終的な判断にあたっては、「安全性」「光熱費」「災害対応」「調理の好み」の4要素を比較し、ご家庭内での優先順位を整理することをおすすめします。
ガス併用という選択肢
ガスを併用する場合であっても、「給湯のみ電気にする」「調理のみIHにする」といった柔軟な組み合わせが可能です。給湯省エネ2026事業の対象でもあるハイブリッド給湯機は、電気とガスを状況に応じて効率よく使い分けるシステムです。
複数のエネルギー源を併用していれば、いずれか一方が停止した場合でも生活を維持しやすいメリットがあります。ただし、その分ガスの基本料金は継続して発生します。
二者択一にこだわりすぎる必要はありません。住宅自体の断熱性能を高め、根本的なエネルギー消費量を抑えるアプローチも有効です。性能に関する詳細は、高気密・高断熱住宅のメリット・デメリットをまとめた記事で解説しています。
ヤマダホームズでは、お客様のライフスタイルに合わせた設備のご提案や、光熱費の個別シミュレーションを行っております。最新の住宅設備やキッチンをご体感いただけるモデルハウスも全国に展開しておりますので、ぜひお近くのモデルハウスへお気軽にご来場ください。詳細は以下の公式サイトよりご確認いただけます。

よくある質問
- オール電化は電気代が高くなりますか
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ガスを使用しない分、電気の使用量は増えるため電気代の請求額は上がります。しかし、比較すべきは電気代単体ではなく、電気代とガス代を合わせた「光熱費の総額」です。時間帯別の料金プランを利用する場合、昼間の使用量によって節約効果が変わるため、ご家族の生活パターンをもとにシミュレーションすることをおすすめします。
- オール電化は時代遅れなのでしょうか
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電気料金は変動しており、資源エネルギー庁の「エネルギー動向2026年版」によると、2024年度は2022年度よりも低い水準に落ち着いています。「高騰し続けている」という見方は必ずしも実態と一致しません。一方で、太陽光発電や蓄電池との併用による「自家消費型」の普及が進んでおり、オール電化の考え方や組み合わせ方が進化しているのが実情です。オール電化という選択自体が古いわけではありません。
- 停電したときにお湯は使えますか
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貯湯タンク内の水やお湯を非常用生活用水として取り出せるモデルがあります。ただし、非常用の水は通常の蛇口から出るわけではなく、取り出し方や条件は機種によって異なります。事前に取扱説明書で操作手順を確認し、ご家族で共有しておきましょう。また、カセットコンロやポータブル電源などの防災用品も準備しておくと安心です。
- IHクッキングヒーターでは今の鍋が使えなくなりますか
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底が平らで、IHに対応した材質(磁性体など)の鍋であれば引き続き使用可能です。一方、土鍋や底が丸い中華鍋などはそのまま使用できません。買い替えが必要になる調理器具の範囲を事前に確認しておきましょう。ショールームなどで手持ちの器具が使えるか試せる場合もあります。
- エコキュートの運転音は近隣トラブルになりますか
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設置位置によっては配慮が必要です。ヒートポンプユニットは主に夜間に稼動するため、自社や隣家の寝室近くを避けて設置するのが基本です。設置後の移動は困難なため、配管経路と合わせて設計段階でしっかり配置を検討しましょう。
- 再エネ賦課金はどのくらいかかりますか
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経済産業省の発表によると、2026年度の再エネ賦課金単価は1kWhあたり4.18円です。月400kWhの電気を使用する家庭の場合、月額1,672円(年額20,064円)となります。この単価は2026年5月検針分から2027年4月検針分まで適用されます。使用量に比例して課金されるため、使用量が多くなりやすいオール電化では事前の試算が大切です。
まとめ
オール電化住宅は、給湯や調理、冷暖房をすべて電気でまかなう住まいで、火を使わない安全性やお手入れのしやすさなどのメリットがあります。一方で、日中の在宅時間が長い生活スタイルとの相性や、停電時の備え、設備の設置スペースや運転音など、事前に確認しておきたい点もあります。
導入するかどうかは、日中の在宅時間や太陽光発電を設置できるかといった条件をもとに判断することが大切です。ガス併用という選択肢も含めてメリットとデメリットを比較し、家族の暮らしに合ったエネルギーの使い方を選びましょう。




