住宅の売買契約を結ぶ際、その場で手付金を支払います。数十万円から数百万円のまとまった現金を用意する必要があるため、手付金の相場がいくらなのか、足りない場合はどう対応すべきかを、契約日が決まる前に確認しておきましょう。
この記事では、手付金の相場と額の決まり方、法律上の意味、支払時に確認すべき点、用意が難しい場合の進め方をわかりやすく解説します。
- 手付金の額を定めた法律はなく、売主と買主の合意で決まる(相場は物件価格の5〜10パーセント程度)
- 売主が不動産会社の場合は、宅地建物取引業法により代金の20パーセントを超える手付を受領できない
- 民法第557条により、相手方が履行に着手するまでは、買主は手付を放棄し売主は倍額を現実に提供して解除できる
- 売主が不動産会社の場合、手付についての貸付けその他信用の供与による契約の誘引は法律で禁じられている
- 完成前の物件では代金の5パーセント、完成物件では10パーセントを超える手付金等に保全措置が義務づけられる
- 住宅ローン特約があれば、融資が承認されなかったときに契約を白紙に戻して手付金の返還を受けられる
※この記事に掲載されている価格は、2026年までの相場を参考にしています。昨今の物価高騰に伴い、価格は随時変動する可能性がございます。最新の詳細な価格につきましては、必ず直接店舗までお問い合わせください。
住宅の手付金の相場は?どのように決まっているの?

手付金をいくら支払うかは法律ではなく当事者間の取り決めで決まりますが、一定の制限もあります。まずはその基本枠組みと相場を押さえましょう。
額を定めた法律はない
手付金の額を直接定めた法律の規定はなく、売主と買主の合意によって決まります。物件価格の何パーセントにしなければならないという決まりはありません。
一般的には物件価格の5パーセントから10パーセント程度が相場とされています。ただし、この相場はあくまで一つの目安であり、公的な統計などで定められたものではありません。物件の種類、売主が個人か不動産会社か、契約に至る経緯などによって変動します。
たとえば物件価格が3,000万円の場合、相場どおりなら5パーセントで150万円、10パーセントで300万円となります。契約の場で用意する現金としてはまとまった金額になるため、物件探しを始めた段階から手付金の準備を見込んでおくことが大切です。
手付金の額が決まる背景には、後述する解約手付としての機能があります。買主が契約を解除する際には放棄するお金であり、売主が解除する際には倍額を返すお金となるため、少なすぎると契約の効力が軽くなり、多すぎると買主の負担が大きくなります。双方のバランスが取れる水準で設定されます。
売主が不動産会社の場合の上限
宅地建物取引業法第39条第1項は、宅地建物取引業者が自ら売主となる売買契約において、代金の額の10分の2を超える額の手付を受領できないと定めています。新築の建売住宅や分譲マンションのように、売主が不動産会社である取引に適用されます。
この上限規定は買主を保護するために設けられています。手付放棄による契約解除を行う場合、買主が失う金額は手付金の額と同額になるため、手付金が高額すぎる場合、買主が契約解除を躊躇せざるを得なくなるためです。
売主が個人の場合(中古住宅取引の多く)は、この上限規定は適用されません。当事者間の合意によって決まるため、提示された金額が相場とかけ離れていないか、根拠を確認したうえで判断しましょう。
注文住宅で必要になる場面
注文住宅では、土地の売買契約と建物の建築請負契約が別々に結ばれます。土地を購入するときに手付金を支払い、建物の請負契約では契約金や着手金という名目でお金を支払うのが一般的です。
双方の支払時期が近い場合、土地の手付金のみを考慮して資金準備を行っていると不足するおそれがあります。土地・建物の契約時期と、それぞれいつ・いくら必要なのかを、住宅会社と不動産会社の双方に確認しておきましょう。
なお、建物の請負契約時に支払う金銭は、売買契約の手付金とは法律上の性質が異なります。同じ「契約時に支払う現金」であっても、契約解除時の扱いが異なる点に注意が必要です。資金計画全体の組み立て方については、年収とローンの計算から全体像を整理した記事もご参照ください。
建物の請負契約に支払うお金は、売買の手付金とは法律上の性質が異なります。同じ「契約時に払う現金」でも、解除したときの扱いが変わる点は押さえておいてください。資金全体の組み立て方は年収とローンの計算から全体像を整理した記事で扱っています。
手付金は法律上重要な役割を持っている
手付金は単なる前払い金ではなく、法律上の重要な役割を果たします。性質を理解せずに契約すると、万が一解約したい場合に思わぬ不利益が生じる可能性があります。
解約手付としての働き
民法第557条第1項は、買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して契約の解除をすることができると定めています。住宅の売買で授受される手付金は、通常この解約手付として扱われます。
特に重要なのが同項の「ただし書」です。相手方が契約の履行に着手した後は、手付放棄による解除ができなくなります。たとえば売主が物件の引き渡し準備を開始した後は、手付金を放棄しても契約解除が認められない場合があります。
売主が不動産会社の場合は、宅地建物取引業法第39条第2項により、手付がいかなる性質のものであっても買主は手付を放棄して解除でき、同条第3項によりこれに反する買主に不利な特約は無効とされています。
いつまで解除できるのか
「履行の着手」の時期は取引内容によって異なります。そのため実務上は、契約書に手付解除の期限を具体的に定めておくのが一般的です。
契約書に手付解除の期限が明記されているか、明記されている場合はその日付を必ず確認してください。この期限を過ぎると、手付金を放棄しても契約を解除できなくなります。
期限の記載がない場合は、いつまで解除可能かを仲介業者に確認し、書面で明確に提示してもらいましょう。口頭でのやり取りのみでは、トラブルの原因となります。
手付金と頭金の違い
手付金と頭金は、支払う時期や役割が異なります。混同して認識していると、資金計画にズレが生じる可能性があるため注意しましょう。
| 項目 | 手付金 | 頭金 |
|---|---|---|
| 支払う時期 | 売買契約の締結時 | 決済・引き渡し時 |
| 法律上の役割 | 解約手付として契約の解除に関わる | 役割の定めはない自己資金 |
| 用意の要否 | 契約の慣行として通常必要 | なくても購入は可能 |
| 最終的な扱い | 代金の一部に充当される | 代金の一部として支払う |
| 住宅ローンとの関係 | 融資実行前のため自己資金で用意する | 借入額を減らすために充てる |
いずれも最終的には購入代金に充当されますが、手付金は「契約時」、頭金は「決済時」に支払うという点で異なります。手付金は住宅ローンの実行前に必要となるため、ローン借入額から直接充当することはできません。
手付金等の保全措置
売主が不動産会社の場合、受領した手付金等を返還できなくなるリスクに備え、保全措置が義務付けられています(宅地建物取引業法第41条・第41条の2)。
工事完了前の物件では代金の5パーセント、完成した物件では10パーセントを超える手付金等を受け取る場合、銀行等の保証や保険による保全措置を講じた後でなければ受領できません。いずれも政令で定める額以下であるときなどの例外があります。
保全措置が講じられていない場合、買主は手付金等の支払いを拒否することができます。売主が不動産会社の取引では、保全措置の内容が重要事項説明で案内されますので、必ず確認しましょう。
住宅の手付金を支払うときに確かめること
契約当日に慌てないよう、支払方法や受領する書類について事前によく確認しておきましょう。
支払いの方法
支払方法は現金持参か銀行振込が一般的です。振込とする場合は、契約時点で着金確認ができるよう、送金のタイミングを事前に調整しておきましょう。
金融機関ごとに1日あたりの振込限度額が設定されています。手付金の額が限度額を超える場合は、限度額引き上げの手続きに日数を要することがあるため、契約日が決まった段階で事前に確認しておきましょう。
現金で持参する場合は、防犯面や管理に十分留意する必要があります。どちらの支払方法を選択するかは、仲介業者と相談して決定しましょう。
分割や後払いの扱い
宅地建物取引業法第47条第3号では、手付について貸付けその他信用の供与を行うことにより、契約の締結を誘引する行為を禁止しています。そのため、売主や仲介業者が不動産会社の場合、手付金の分割受領や後払いは原則として認められません。
手付金は契約時に一括で支払うのが基本です。分割支払いの交渉は、法律上の制約により受け入れられないケースが多いことを理解しておきましょう。
手付金の準備が難しい場合は、支払方法の変更ではなく、手付金の額自体や契約日程の調整について相談するのが現実的なアプローチとなります。
受け取る書類
手付金を支払った際は、必ず受領書(領収書)を受け取ります。日付、金額、受領者の氏名・名称および押印があるかをその場で確認してください。
銀行振込の場合も、振込明細書だけでなく売主発行の受領書を取得しておくと確実です。振込明細書は送金の事実を証明するものであり、売主が受領したことの証明としては不十分な場合があるためです。
受領書は売買契約書とともに大切に保管しましょう。契約から決済・引き渡しまで期間が空くこともあるため、紛失しないよう管理してください。
住宅ローン特約の確認
住宅ローンを利用して購入する場合、万が一融資が承認されなかった場合に契約を白紙撤回できる「住宅ローン特約」を設定しておくことが重要です。この特約が適用されれば、支払った手付金は全額返還されます。
特約には解除期限や対象となる金融機関が指定されるため、契約前に双方の条件を必ず確認してください。期限を過ぎてから不承認となった場合、特約による解除が認められないことがあります。
複数の金融機関に審査を申し込む予定がある場合は、そのすべてが特約の対象に含まれているかも確認しておきましょう。住宅ローンの事前準備に関しては、住宅ローン控除の条件と手続きをまとめた記事も併せてご参照ください。
手付金の用意が難しいときの進め方

手付金の準備が難しくなった場合は、できるだけ早い段階で仲介業者等に相談しましょう。契約日が近づくほど、対応策の選択肢が限られてしまいます。
額を相談する
手付金の額は当事者間の合意で決まるため、提示額が相場の範囲内であっても減額交渉の余地があります。売却を急いでいる売主であれば、柔軟に応じてもらえる可能性もあります。
減額を相談する際は、購入意思が固い旨と、用意可能な具体的な金額を明確に伝えましょう。「安くしてほしい」と伝えるだけでは、売主側に契約キャンセルリスクへの不安を与えてしまいます。
なお、手付金額を下げると契約解除のハードルが下がるため、売主側のリスクが高まります。引き渡し時期など他の条件で歩み寄れるポイントがあれば、併せて提示すると交渉がスムーズに進みやすくなります。
契約日を調整する
給料日やボーナス支給日、定期預金の満期日などに合わせて契約日を延期することで、手付金を確保できる場合があります。売主の承諾が必要となりますが、検討すべき選択肢の一つです。
ただし、人気の物件では契約を待っている間に他の買主と契約されてしまうリスクがあります。日程調整を申し出る際は、指定した期日までに確実に資金を準備できるか見極めたうえで伝えることが重要です。
日程調整に応じてもらえた場合は、購入申込の優先順位が維持されているかも確認しておきましょう。口頭の了解のみでは、他の買主から申込が入った際に優先権を失うおそれがあります。
親族からの援助を受ける
親や祖父母などの親族から資金援助を受ける方法もあります。住宅取得等資金の贈与については非課税特例が用意されていますが、適用要件や非課税限度額は税制改正により変更される可能性があるため注意が必要です。
援助を受ける場合は、「贈与」なのか「借入」なのかを明確にし、借入とする場合は金銭消費貸借契約書などで返済条件を書面化しておきましょう。書面がない場合、税務上「贈与」とみなされるおそれがあります。
また、親族からの借入であっても、返済負担は住宅ローンの審査時に返済比率(返済負担率)へ影響します。金融機関には正確に申告しましょう。税務上の詳細な取扱いについては、税務署や税理士への確認をおすすめします。
契約日までに確かめておきたいこと
- 手付金の額と、契約書の記載が一致しているか
- 支払いは現金か振込か、振込なら着金をいつまでに済ませるか
- 振込限度額が手付金の額を下回っていないか
- 手付解除の期限が契約書に書かれているか
- 住宅ローン特約の期限と対象の金融機関
- 売主が不動産会社の場合、手付金等の保全措置の内容
- 受領書を誰から受け取るか
相談する相手を選ぶ
手付金の額や契約日程の調整については、売主との交渉窓口となる仲介業者の担当者にまず相談しましょう。
資金計画全体の見直しが必要な場合は、自己資金と借入額の配分を再検討することになります。物件を決定する前に、手付金の相場もふまえて住宅会社や金融機関に資金計画を相談しておくことで、手付金の準備で困るリスクを軽減できます。
贈与や借入の税金に関しては税理士、権利関係や登記手続きに関しては司法書士が専門の相談先となります。中古住宅の購入手順については中古住宅購入時の注意点をまとめた記事も併せてご確認ください。不明点を解消したうえで契約日を迎えられるよう準備を進めましょう。
ヤマダホームズでは、土地と建物を合わせた資金計画のご相談から、契約の段取りのご説明まで承っております。実際の間取りや仕様をご覧いただけるモデルハウスを全国にご用意し、みなさまのご来場をお待ちしております。ご興味のある方は、以下のサイトから詳細をご確認ください。

よくある質問
- 手付金の最低額に決まりはありますか
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手付金の最低額に関する法律上の規定はありません。売主が合意すれば、相場より少額であっても契約は成立します。ただし、手付金は解約手付としての役割を持つため、額が小さすぎると売主側にとって契約解除のリスクが高まり、承諾を得にくくなります。実際に交渉可能かどうかは売主の意向によるため、仲介業者を通じて事前に相談してみましょう。
- 買主の都合で解約すると手付金は戻りませんか
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民法第557条第1項に基づき、買主は支払った手付金を放棄することで契約を解除できます。この場合、支払済みの手付金は返還されません。ただし、手付放棄による解除が可能なのは相手方が「履行に着手する前」までに限られます。なお、住宅ローン特約に基づく解除や売主側の契約違反による解除の場合は扱いが異なりますので、契約書の該当条項をご確認ください。
- 売主から解約されることはありますか
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売主からの解除も可能です。民法第557条第1項により、売主は手付金の倍額を現実に提供することで契約を解除できます。買主側と同様に、相手方が履行に着手する前までに限られます。なお、単に口頭で解約を申し出るだけでなく、倍額を「現実に提供」する必要がある点に注意が必要です。
- 手付金はクレジットカードで支払えますか
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クレジットカード決済に対応しているかは、売主および仲介業者の運用によります。決済から実際の入金までにタイムラグが生じるため、契約時点で確実な受領確認ができるかが課題となります。また、売主が不動産会社の場合は手付金の信用供与(信用取引)禁止規定に抵触するおそれがあるため、利用できないケースが多く見られます。利用を希望する場合は事前に確認しましょう。
- 手付金を住宅ローンに組み込めますか
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手付金は売買契約締結時に必要となるのに対し、住宅ローンの融資実行は物件の引き渡し時となるため、時期が異なります。そのため、手付金自体を住宅ローンから直接支払うことはできません。諸費用ローン等の活用によって手元資金に余裕を持たせる手法はありますが、契約時に現金等の自己資金が必要となる点に変わりはありません。
- 手付金を払ったのに売主が引き渡してくれない場合はどうなりますか
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売主の債務不履行にあたるため、売買契約書に記載された違約金条項に基づいて対応することになります(手付解除とは異なる手続きです)。まずは仲介業者に連絡して対応を求め、解決が難しい場合は弁護士等の専門家に相談してください。交渉経緯の記録や受領書は、こうしたトラブル時に重要な証拠となります。
まとめ
住宅の手付金は、売買契約の際に支払うまとまったお金で、その額は法律ではなく売主と買主の合意によって決まり、物件価格の5〜10パーセント程度が相場とされています。ただし、売主が不動産会社の場合は上限や保全措置などのルールがあり、手付金には契約の解除に関わる重要な役割もあります。
契約前には、支払方法や解除できる期限、住宅ローン特約の内容などをしっかり確認しておくことが大切です。用意が難しい場合も、早めに相談すれば額や日程の調整といった対応が可能なため、余裕を持って準備を進めましょう。




