住宅を作るなら木造と鉄骨どっちがいい?費用・耐用年数・耐震性で比較

住宅を建てる会社を検討していると、早い段階で突き当たるのが「木造にするか、鉄骨にするか」という工法の選択です。住宅展示場を回ると、木造をすすめる住宅会社もあれば鉄骨をすすめる住宅会社もあり、それぞれの説明を聞くほど何を基準に選べばよいのか分からなくなってしまう方も少なくありません。

この記事では、木造と鉄骨造(軽量鉄骨造・重量鉄骨造)を、費用・耐用年数・耐震性という3つの軸で整理します。どちらか一方が優れているという結論ではなく、それぞれの工法にどのような特徴があり、何を優先する方に向いているのかを、住宅会社の実務目線で解説します。

この記事でわかること
  • 木造と鉄骨造は、費用・耐用年数・耐震性のいずれも一律に優劣が決まるものではなく、それぞれの特徴を踏まえて選ぶことが大切
  • 「耐用年数」には税務上の減価償却年数という意味があり、これは実際に住める年数を示したものではない
  • 耐震性は建築基準法上どちらの工法も同じ水準の安全性が求められており、工法そのものの優劣ではなく設計と施工の質が結果を左右する
  • 建築費用は木造の方が抑えやすい傾向があるといわれるが、構造別に直接比較した公的な統計は無く、仕様や依頼する住宅会社によって変わる

※この記事に掲載されている価格は、2026年までの相場を参考にしています。昨今の物価高騰に伴い、価格は随時変動する可能性がございます。最新の詳細な価格につきましては、必ず直接店舗までお問い合わせください。

監修者情報

株式会社ヤマダホームズ
スマチエ編集部

これから家を建てたり、購入を検討している方たちは、どんなことを思い、なにを重視しているのでしょうか。ヤマダホームズがまとめた皆様の声や家づくり調査をご紹介します。

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河野 由美子

二級建築士・インテリアコーディネーター

河野 由美子

二級建築士・インテリアコーディネーター・防災備蓄収納1級プランナーの資格を有する。住宅設備メーカーや住宅コンサルタント会社、大手リフォーム会社での勤務を経て独立。日常の中に非日常を感じられる空間づくりをコンセプトとし、住宅やオフィス・医療施設・店舗などの設計およびインテリアコーディネートに携わる。
建築インテリア関連記事の企画執筆や監修業務、研修講師、建築関連資格対策テキスト監修、工務店施工事例集ディレクションなどの実績も多数。

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目次

木造と鉄骨造という2つの工法

建築中の木造住宅の骨組み、青空、引き

木造と鉄骨造は、建物を支える骨組みに使う材料が異なる工法です。まずは、それぞれがどのような工法なのかを整理します。

木造とは

木造は、柱や梁など建物の骨組みに木材を使う工法です。日本の戸建て住宅でもっとも多く採用されている工法で、国土交通省の建築着工統計調査によると、令和6年に着工した新設住宅792,195戸のうち木造は452,276戸で、全体の57.1%を占めています。

木造にはいくつかの工法がある中で、柱と梁を組んで骨組みをつくる木造軸組工法(在来工法)と、パネル状の壁で建物を構成する枠組壁工法(ツーバイフォー工法など)が広く使われています。いずれの工法も、建築基準法にもとづいて必要な耐力壁の量や配置が定められています。

鉄骨造とは

鉄骨造は、柱や梁に鋼材を使う工法です。使用する鋼材の厚みによって軽量鉄骨造と重量鉄骨造に分けて呼ばれることが多く、戸建て住宅で採用されるのは主に軽量鉄骨造です。重量鉄骨造は柱の間隔を大きく取りやすく、マンションやオフィスビルなど中高層の建物で多く採用されています。

軽量鉄骨造・重量鉄骨造という呼び方は、建築基準法上の正式な区分ではなく、鋼材の厚み(骨格材の肉厚)による慣用的な分類です。国税庁の減価償却資産の耐用年数表でも、金属造の建物は骨格材の肉厚によって耐用年数が区分されています。この点は、次の耐用年数の項目であらためて説明します。

木造と鉄骨造の主な違い
構造主な工法主に採用される建物法定耐用年数(税務上・住宅用)
木造木造軸組工法(在来工法)、枠組壁工法(ツーバイフォー工法など)戸建て住宅22年
軽量鉄骨造鉄骨系のプレハブ工法など戸建て住宅骨格材の肉厚が3mm以下:19年、3mmを超え4mm以下:27年
重量鉄骨造ラーメン構造などマンション・オフィスビルなど中高層建物骨格材の肉厚が4mmを超えるもの:34年

この表の法定耐用年数は、国税庁が定める減価償却資産の耐用年数であり、税務上の減価償却期間を示すものです。建物が物理的に住めなくなる年数を定めたものではない点に注意が必要です。詳しくは次の項目で説明します。

費用の違いが生まれる理由

木造と鉄骨造では、建築費用の水準に差が生まれやすいといわれています。

建築費用の傾向と差が生まれる要因

一般的には、木造は鉄骨造と比べて建築費用を抑えやすい傾向があるといわれています。木材は現場での加工がしやすく、鋼材に比べて資材そのものの価格や運搬・組み立てにかかる手間を抑えやすいことが理由として挙げられます。

構造ごとの水準は、公的な数字でも確認できます。国税庁が公表している「建物の標準的な建築価額表」は、国土交通省の建築着工統計をもとに構造別の1平方メートルあたり工事費を算出したもので、令和5年に建築された建物では木造・木骨モルタル造が20.4万円、鉄骨造が28.1万円、鉄筋コンクリート造が31.4万円とされています。鉄骨造は木造のおよそ1.4倍という水準です。

ただし、この表は税の計算に使うための標準的な価額で、住宅に限らず倉庫や事務所などの建築物も含んでいます。住宅だけを取り出して構造別に建築費を比較した公的な統計は見当たらないため、あくまで差の大きさをつかむための目安として見てください。実際の金額は仕様、延床面積、地域、依頼する住宅会社によって大きく変わります。

総額を左右するのは工法だけではない

建築費の総額は、構造だけでなく、外壁や屋根の仕様、断熱性能、設備のグレードなど、建物全体の仕様によって大きく変わります。同じ木造どうし、同じ鉄骨造どうしを比べても、選ぶ仕様によって数百万円単位の差が生まれることも珍しくありません。

工法を検討する際は、坪単価などの目安の数字だけで判断せず、同じ仕様の条件で複数の住宅会社から見積もりを取り、内訳を比較することをおすすめします。

「耐用年数」という言葉の2つの意味

木造と鉄骨造を比べるときによく登場する「耐用年数」という言葉には、実は性質の異なる2つの意味があります。混同すると、実際の家の寿命を見誤ることになるため、ここで整理しておきます。

法定耐用年数は税務上の減価償却年数

前の表に挙げた22年、19年、27年、34年という年数は、国税庁が定める減価償却資産の耐用年数表による法定耐用年数です。これは会計上、建物の取得費用を何年かけて経費として計上するかを定めた税務上の基準であり、建物が実際に住めなくなる年数を示したものではありません。

住宅用の建物の場合、木造・合成樹脂造は22年、鉄骨造は骨格材の肉厚が4mmを超えるものが34年、3mmを超え4mm以下のものが27年、3mm以下のものが19年と定められています。中古住宅の売買や住宅ローンの審査で「耐用年数」という言葉が使われる場合、多くはこの法定耐用年数を指しています。

実際に住める年数は工法だけで決まらない

建物が実際に何年住み続けられるかを一律に定めた公的な基準はありません。木造・鉄骨造のいずれも、日頃の点検と必要な時期の補修を続けることで、法定耐用年数を超えて長く住み続けられているケースが多く見られます。逆に、点検や補修を怠れば、どちらの工法でも劣化は早まります。

木造は雨水の侵入によるシロアリ被害や木部の腐朽、鉄骨造は鋼材のさびが、劣化を早める主な原因になりやすいといわれています。工法ごとに注意すべき点は異なりますが、どちらも定期点検と適切なメンテナンスを続けることが、長く住み続けるための共通した条件です。

耐震性は工法の優劣で決まらない

鉄骨の柱と梁が組まれた建築現場、見上げ

耐震性についても、木造と鉄骨造のどちらが優れているかという単純な優劣では語れません。

建築基準法の耐震基準は工法にかかわらず同じ

建築基準法第20条は、建物が自重や積雪、風圧、地震などの力に対して安全な構造であることを求めています。木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造のいずれであっても、震度6強から7程度の大地震に対して倒壊・崩壊のおそれがないことを目標とする、同じ水準の安全性が求められます。

求められる安全性の水準は共通していますが、それを確かめるための構造計算の方法や仕様の規定は、建築基準法施行令のなかで工法ごとに定められています。工法によって設計上の考え方や計算の方法は異なりますが、どちらの工法を選んでも、建築基準法に適合する限り同じ安全性の基準を満たすことになります。

木造・鉄骨造それぞれの耐震設計の考え方

木造は主に、柱と梁の骨組みに、斜めの筋かいや面材を組み込んだ耐力壁で地震の横方向の力を受け止める設計が中心です。建物の重量が鉄骨造やRC造に比べて軽いため、地震によって建物自体に生じる力(地震力)も小さくなりやすいという特徴があります。

鉄骨造は、柱と梁の接合部を剛接合にして力を伝えるラーメン構造や、鉄骨に筋かいを組み合わせる方法などで地震の力に対応します。鋼材は粘り強く変形しやすい性質(靭性)を持つため、大きな力を受けても粘り強く耐えやすいという特徴があります。

いずれの工法も、耐力壁や接合部の配置バランス、地盤に応じた基礎の設計、そして施工の精度によって実際の耐震性能は変わります。工法そのものの優劣ではなく、設計と施工の質が耐震性を左右すると考えておくとよいでしょう。地震に強い間取りや構造の考え方は、地震に強い家の形や構造の特徴でも詳しく解説しています。

費用・耐用年数・耐震性のほかに確認したいポイント

工法を選ぶときは、費用・耐用年数・耐震性に加えて、工期や間取りの自由度、将来のメンテナンス方針も判断材料になります。木造建築そのものの特徴をより詳しく知りたい方は、木造建築のメリット・デメリットもあわせてご覧ください。

工期の目安

木造は木材の加工のしやすさから、鉄骨造に比べて工期を短くしやすい傾向があるといわれています。ただし、実際の工期は延床面積や間取りの複雑さ、依頼する住宅会社の生産体制によって変わるため、契約前に見積もりとあわせて工程表を確認しておくと安心です。

間取りの自由度とメンテナンスの方針

木造軸組工法は、柱の位置を調整しやすく、増改築や間取りの変更に対応しやすい特徴があります。鉄骨造は柱の間隔を広く取りやすい工法もあり、開放的な大空間をつくりやすいという特徴があります。どちらが希望する間取りに合うかは、実際に検討している住宅会社の設計事例を確認して判断するとよいでしょう。

メンテナンスについても、外壁材や屋根材など仕様によって周期や費用が変わります。工法だけでなく、採用する外装材のメンテナンス周期もあわせて確認しておくことをおすすめします。ヤマダホームズでは全国に住宅展示場をご用意しており、実際の建物をご覧いただきながら、木造と鉄骨造それぞれの特徴について担当者にご相談いただけます。

よくある質問

火災保険料は木造と鉄骨造で変わりますか?

火災保険料は建物の構造そのものよりも、防火性能の区分によって決まります。一般的な木造軸組工法の住宅は保険料率区分で非耐火の区分になりますが、住宅金融支援機構が定める省令準耐火構造の仕様を満たすと、耐火の区分となり保険料が軽減されます。鉄骨造は鋼材が不燃材料であるため、別の区分で耐火性能が評価されるのが一般的です。工法にかかわらず、契約している保険会社や代理店に構造区分を確認することをおすすめします。

固定資産税は木造と鉄骨造で違いますか?

固定資産税の家屋の評価額は、総務省が定める固定資産評価基準にもとづき、木造家屋と非木造家屋(鉄骨造など)を区分して算定されます。構造によって評価の基準となる項目や再建築費の算定方法が異なるため、同じ延床面積でも評価額に差が生じることがあります。具体的な評価額は建物が所在する自治体の算定によりますので、詳しくは自治体の窓口にご確認ください。

中古住宅の住宅ローンは法定耐用年数の影響を受けますか?

金融機関によっては、中古住宅の融資期間の上限を、建物の法定耐用年数から築年数を差し引いた年数を目安に設定している場合があります。木造は22年、鉄骨造は骨格材の肉厚に応じて19年から34年が法定耐用年数であるため、築年数が経過した中古住宅では、この基準が融資期間に影響することがあります。取扱いは金融機関や商品によって異なるため、検討している金融機関に確認することをおすすめします。

木造と鉄骨造を組み合わせた家(混構造)は建てられますか?

1階を鉄骨造やRC造、上階を木造にするといった混構造の住宅も建てられます。ただし混構造は、木造のみ・鉄骨造のみの建物に比べて構造計算が複雑になり、対応できる住宅会社が限られる場合があります。混構造を検討する際は、その工法の実績がある住宅会社に相談することをおすすめします。

まとめ

木造と鉄骨造のどちらを選ぶかは、この3つの軸を比べるだけでは決まりません。木造は建築費用を抑えやすい傾向があるといわれ、鉄骨造は柱の間隔を大きく取りやすいといった特徴がありますが、いずれも工法そのものより、選ぶ仕様や設計・施工の質で動く幅のほうが大きいためです。

耐用年数という言葉には、国税庁が定める税務上の減価償却年数という意味と、実際に住み続けられる年数という2つの意味があります。前者は工法によって19年から34年まで幅がありますが、後者を一律に定めた公的な基準はなく、どちらの工法も日頃の点検とメンテナンス次第で長く住み続けられます。

耐震性についても、建築基準法上は木造・鉄骨造のどちらを選んでも同じ水準の安全性を満たす必要があります。実際の耐震性能を左右するのは工法そのものではなく、耐力壁や接合部の設計、施工の精度です。工法選びで迷ったときは、費用の見積もりだけでなく、住宅会社に設計や施工の考え方を確認しながら判断することをおすすめします。

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